【日本代表】“日陰の存在”から日本の中心へ――。清武弘嗣が見せつけた圧巻のパフォーマンス

2016年03月25日 高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト)

心掛けていたのは「一発でゴールにつながるプレー」

58分には見事なパスワークから3人目の動きでゴールを奪った。清武が日本を勝利に導く活躍を見せた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「パーフェクトを目指したい」という試合前日のコメントどおり、文句のつけようのない出来だった。1ゴール・2アシストと目に見える結果を残したうえ、持ち前の高度なテクニックと卓越したパスセンスで何度も好機を演出。5-0の大勝を収めたアフガニスタン戦で、特大の輝きを放ったのが清武弘嗣だ。

【マッチレポート】日本 5-0 アフガニスタン

【PHOTOハイライト】 岡崎が衝撃の先制弾、清武1得点・2アシスト

 
 与えられたポジションは4-4-2のトップ下。序盤は引いてくる2トップのひとりと動きが被りがちで、バイタルエリアでボールを受ける回数は少なかった。しかし、時間が経つごとに前線との連係が向上。裏に抜けた金崎をおとりに使い、岡崎の先制点をお膳立てした43分のシーンはそうしたなかで生まれた。
 
 試合後に本人が語ったように、心掛けていたのは「一発でゴールにつながるプレー」。象徴的だったのは、30分と35分の場面だろう。いずれもサイドにフリーの味方がいたにもかかわらず、清武はあえて中央へのスルーパスを選択。惜しくもDFにクリアされたが、通っていれば決定機になっていただろう。
 
 ハノーファーでしばしば見られる低い位置まで下がってボールをもらいにいくシーンが少なかったのも、結果にこだわった所以だろう。『常に2トップと近い距離でプレーしよう』という意識があったからこそ、3得点に絡む大仕事をやってのけることができたのだ。
 
 58分に自らネットを揺らせば、73分にはブンデスリーガでも屈指の精度を誇る右足のキックで吉田麻也のヘディング弾を演出。この試合の主役は間違いなく、この小柄な背番号13だった。
 
 世界でも十分に通用するテクニシャンでありながら、これまで代表では日陰の道を歩んで来た。キャップ数こそ34あるが、そのほとんどが途中出場で香川や本田の控えという立場から抜け出せなかった。
 
 そうした不遇の日々にピリオドを打ち、名実ともに日本の中心に登り詰める日も近いのではないか――。そんな予感を抱かせるほど、清武のパフォーマンスは傑出していた。
 
取材・文:高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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