「不公平じゃないか!」イラク代表エースへの“過剰パフォ→2枚目警告”の厳罰をアジア通記者が疑問視!「ヨルダンの誰も腹を立てていなかった」【アジア杯】

2024年01月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

イラク代表監督は「勝利は審判によって盗まれた」と怒り心頭

フセインのこの振る舞いに主審が即反応。殊勲のエースは2度目のイエローで退場を言い渡された。(C)REUTERS/AFLO

 まさに想像を超える壮絶な幕切れだった。

 現地1月29日、アジアカップ2023のラウンド16でイラク代表とヨルダン代表が対戦。ヨルダンに先制されたイラクは68分に同点に追いつくと、76分にはエースFWアイメン・フセインが4戦連続となるゴールを決めて逆転に成功した。だが、ゴールパフォーマンスを終えたところでフセインはイラン出身のアリレザ・ファガーニ主審から警告を与えられ、これがこの日2枚目で退場処分に。その後10人となったイラクは必死の粘りをみせたがアディショナルタイムに2点を奪われ、2-3でまさかの逆転負けを喫してしまったのだ。
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 当然、試合後も事態は紛糾。フセインへのイエローカード提示ははたして正しいジャッジだったのか否か。ヨルダンの選手たちは先制点を挙げたあと、複数人で輪を作って手で食事をするパフォーマンスを敢行した。フセインはこれとまったく同じ仕草をしたわけだが、これが相手に対する挑発と取られたのか、セレブレーションが執拗に長いとジャッジされたのかは判然としていない。

 イラク代表のヘスス・カサス監督は試合後の会見で、「ヨルダン戦の勝利は審判によって盗まれてしまった。アジアカップのようなビッグトーナメントにあって、ゴールを祝うパフォーマンスをした選手が退場になるなどあり得ない事態だ」と吐き捨て、「同じジェスチャーをしたヨルダンの選手に罰は与えられていないじゃないか!」とまくし立てた。

 アジアサッカー通記者として知られるガブリエル・タン氏は、米ネットワーク『ESPN』でこの一戦のレポートを寄稿。「今大会で最大の議論を巻き起こしている」と題して、次のようにフセイン問題を論じている。

「アジアカップ史上初めて、全試合でVARが導入された大会だ。何かとジャッジにまつわる議論はあるものの、今日までは順風満帆だった。ヨルダンがアディショナルタイムで逆転するドラマッチックなゲームだったが、熱狂と興奮はすぐに影を潜めてしまった印象だ。数日後か数週間後、イラク側が不服を申し立てたとしても不思議ではない裁定が下ったためである。

 ヨルダンの5人の選手たちは先制点のあと、看板を越えてたっぷり時間を使って客席の前であぐらをかき、芝生を食するというお祝いをした。イエローカードは出ていない。それが主審の判断だった。しかし、フセインのケースと何が違うというのか。彼はシャツを脱いだわけでもピッチを遠く離れたわけでもない。
 
 相手に対する挑発と受け取って、過剰なセレブレーションと見るかどうかはもはや個人の解釈によるものだ。だが2枚目の警告での退場だったため、VARの助言や介入は適用されなかった。フセインはヨルダンの選手の視界に入るようには動いていなかったし、何よりも、ヨルダンの選手の誰も、彼の真似た振る舞いに腹など立てていなかっただろう」

 そしてタン記者は「ファガーニ主審は直近2回のワールドカップで笛を吹くなど20年以上の実績を持つ優秀なレフェリーだ」と前置きしつつ、「徹底的な思考プロセスを経た末のジャッジだったのだろうが、解釈の問題から生じたと思われるこの決断にはやはり議論の余地がある。どうにも不公平感が否めない。それゆえに大きな論争の的となっているのだ」と疑問を投げかけた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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