采配がズバリ的中で尚志を撃破! 復活を遂げた“2年生重戦車コンビ”が岡山学芸館の前線で躍動した【選手権】

2024年01月01日 安藤隆人

「180センチの香西」と「181センチの太田」

岡山学芸館が誇る重戦車2トップ、香西(右)と太田(左)。尚志戦では絶妙な連携を披露した。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権2回戦]岡山学芸館(岡山) 2-1 尚志(福島)/12月31日/柏の葉

 前回覇者・岡山学芸館の選手権初戦において、2トップでスタメンを張ったのは昨年度大会でメンバー外の2年生コンビだった。180センチの香西健心と181センチの太田修次郎。夏のインターハイ以来のコンビとなった2トップが、多くの観衆が詰めかけた柏の葉公園総合競技場を何度も沸かせた。

 対戦相手はプレミアリーグEASTを2位で終えた優勝候補の尚志。2回戦屈指の好カードとなったこの試合で、高原良明監督は「尚志と決まった時点から戦い方を考えていた。前線はボールが収まって馬力があるあのふたりを起用した」と語ったように、インターハイ後は2トップではなく、太田を1トップに置いた4-2-3-1システムで戦っていたが、「対尚志」として太田と香西を並べた2トップを復活させ、3-1-4-2という思い切った策に出たのだ。

 これがズバリ的中した。見た目からも分かるようにガッチリとした上半身を持つ香西と、屈強な下半身と俊敏性を持った太田が前線で起点となって尚志を押し込んだ。開始早々の前半2分に香西のポストプレーからMF田邉望(3年)が左ポスト直撃のシュートを放つと、この直後にチームはカウンターから尚志に先制点を許すが、ペースを乱すことなくふたりは前線で身体を張ってボールを収め続けた。

 14分には中央で仕掛けたMF田口裕真(3年)のクサビを香西がDF1枚を背負ってキープすると、追い越してきた太田へ繋ぎ、太田がさらにタメて左サイドを駆け上がった田邉に展開し、大きなチャンスを作った。23分にはDFライン左からのロングフィードを香西がDFに競り勝って裏のスペースにヘッドで落とし、これにトップスピードで抜け出した太田がゴール前で完全フリーとなるが、シュートを上手くミートできず、ボールはわずかに枠をそれた。直後には香西が2度バランスを崩しながらもDFふたりを引きずるように右サイドを突破してロングループシュートを狙って大観衆のどよめきを生んだ。彼らが前への圧力を強めたことで、35分のMF木下瑠己(3年)の同点弾に繋がった。
 
 後半も5分に香西がDFをなぎ倒しながら前に仕掛け、6分には太田のスルーパスから香西がゴールに迫った。14分に香西はベンチに下がったが、以降は太田が前線のターゲットマンとして存在感を放ち続ける。30分に味方のクリアボールを太田が身体を張ってマイボールにして素早く縦パス。さらに田口のスルーパスを受けて突破を仕掛けた末のこぼれ球が木下の元に届き、鮮やかなダイレクトミドルをゴール右上隅に突き刺した。

 太田の前への推進力と球際の強さが呼び込んだ逆転弾。これが決勝点となって、岡山学芸館が2-1の勝利を飾り、3回戦進出を決めた。

「太田とふたりで何が何でも身体を張ってボールを収めたり、クロスに飛び込んだりしようと話し合って臨みました」

 試合後にこう語った香西にとっては、前述したようにインターハイ以来となる太田とのスタメン2トップだけに、「インターハイでチャンスをもらえたのに応えられなかった。だからこそ、もう気持ちが入りまくっていました」と、気迫を前面に出したからこその躍動だった。

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