最優秀ゴール賞の“衝撃ボレー弾”はどうやって生まれたのか。渡邊凌磨が説明「狙い通りではなかったけど」

2023年12月06日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

サッカーの本質を示したシュート

C大阪戦で渡邊が決めたゴールは衝撃だった。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 「2023 Jリーグアウォーズ」で最優秀ゴール賞を受賞したのは、FC東京の渡邊凌磨だった。選ばれたのは、4月15日のセレッソ大阪(8節)で68分に決めた衝撃のボレー弾だ。

【動画】最優秀ゴール賞に選出!FC東京・渡邊凌磨のボレー弾

 右サイドバックの中村帆高からのアーリークロス気味のパスを、走ったままの状態から胸トラップでポンッと浮かすと、ゴールのやや正面、エリア外から身体を反転させてボレーシュートで叩き込んだ一撃は、文字通りスーパー。正真正銘のゴラッソだった。

 その試合の数日後、本人にインタビューする機会に恵まれた。そこで「今季の年間ベストゴールは、あれで決まりじゃないですか?」との問いかけに対し、彼が「いえいえ、まだ序盤戦ですから」と笑みをこぼした姿をよく覚えている。

 どうやってあのゴールは生まれたのか。当時、その背景を渡邊は次のように説明してくれた。

「狙い通りではなかったけど、事前にキーパーを見ていたからこそ、シュートという判断ができました。常に周りを見る大切さ、常に相手ゴールを見る大切さを改めて実感したゴールでもありました」
 
 特筆すべきは、絶妙な位置に収めた胸トラップだろう。本人曰く「シュートを選択するためのトラップ」だった。

「それができたのもやはりキーパーを見ていたからです。見ていなかったら、たぶんあんな良いトラップはできませんでした」

 GKを見る、すなわち自身の矢印がゴールへ向いていたからこそ、あのゴラッソは生まれた。サッカーの本質を示したシュートとも言えるだろう。

 とにかく、彼には「おめでとうございます」と伝えたい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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