「まるでずっと出場していたかのようだった」74分投入で躍動した久保建英にソシエダ番記者が驚嘆!「ピッチに立った瞬間から...」【現地発】

2023年12月02日 ミケル・レカルデ

「途中出場からでも存在感を発揮できる」

74分からの出場でインパクトを残した久保。(C)Getty Images

 タケ・クボ(久保建英)はレアル・ソシエダ、そしてサン・セバスティアンの顔である。平日の雨の日にアノエタの周辺で、家族と接するようにファンの子供たちと談笑している姿を目にすることもある。ユニホームの売上はチーム断トツで、とりわけ若者の間で絶大な人気を誇る。

 連戦が続き、トップクラスの選手層がそれほど厚くないチームにあって、タケのようなセンスや野心を持った選手の不在は、それだけ目立つ。イマノル・アルグアシル監督は、ザルツブルク戦の前日に地元記者たちとの親密な関係を示すように、同業者の口からはなかなか聞くことができない発言をした。

「3日おきに試合をしているから、ウソをつくことが増えている。君たちは痛み止めの注射を打って、あるいは60%のコンディションで出場した選手がどれれだけいるか想像できないだろう。対戦相手に知られないために君たちにも情報を隠さなければならない。準備はできているといっても、みんながみんな100%の状態でプレーしているわけではないんだ」
 
「休養するために試合を欠場すべき選手は誰か?」というアンケートを実施すれば、間違いなくタケは下位にランクされるはずだ。彼はそれほどこのチームのスペクタクルであり、違いを生み出す存在であり、攻撃の要である。
 
 そのうえ素晴らしいのは、途中出場からでも存在感を発揮できる点だ。ザルツブルク戦でもそうだった。タケをはじめとした主力を温存した影響で、立ち上がりからソシエダは攻めあぐんだ。

 そんな時、決まって、ファンの間で、「タケの出番はいつか?」と待望論が高まる。アルグアシル監督が投入した時、時計の針はすでに74分を指していた。タケはいつものように、まるでずっと出場していたかのように試合の流れに乗ってプレーした。

 常に熱く、生き生きとし、ピッチに立った瞬間から、主役になるためにボールを要求した。最初の特筆すべきシーンは、ドリブルでマーカーを剥がし、そのギャップを突いて裏に抜けたアンデル・バレネチェアにパスを送った85分のプレー。バレネチェアがすかさず折り返したが、ゴール前でマルティン・スビメンディがダイレクトでシュートを打つも、ミートし切れなかった。

 さらに惜しかったのが、ロスタイムでの、ゴール左上隅に蹴り込んだFKだ。枠を捉えていたが、相手GKの好セーブに遭い、その直後のカットインからのシュートは、今度はコースが甘く、難なくキャッチされた。
【動画】「ゴールまであと少し」GKの好セーブに阻まれた久保のFK
 結局、試合はスコアレスドローに終わり、ソシエダは勝点で並ぶインテルと1位通過を懸けて、最終節で直接対決することになった。もちろんその大一番でタケが温存されることはないし、ファンが出番はいつかとヤキモキする必要もない。土曜日のオサスナ戦もそうだ。タケがチームの、街の顔であるのには理由がある。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

「彼の存在が全てを変えた」「電撃的」途中出場で鮮烈パフォの久保建英にスペイン大手紙が賛辞!「直接FKはゴールまであと少しだった」
 

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