【セルジオ越後】眠くなったシリア戦。テレビ中継がなくて良かったね。「8連勝」も見栄えがいいだけ。手放しでは喜べない

2023年11月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

格下との試合も意義があるけど...

シリア戦は日本にとって、ホームで戦っているような展開になった。(C)Getty Images

 日本がワールドカップのアジア2次予選でシリアと対戦して、5-0で完勝した。

 大差になったけど、想定内の結果でもあった。予想通り、シリアは守って最少失点でしのぎたいというサッカーだった。自陣深くに多くの人数をかけ、とりあえずクリアしておけばOK。攻撃にはまったくつながらない戦い方だった。

 2点、3点と失点を重ねても、反撃しようとする姿勢はほとんど見られない。中立地のサウジアラビア開催とはいえ、有利な中東での試合だったにもかかわらず、利点を活かそうとしていなかったね。

 森保ジャパンが前半に3得点した時点で勝負の行方は明らかで、そこで試合が終わってしまったと言っていいだろう。後半は、日本がややペースダウンしたこともあって、申し訳ないけど、見ていて眠くなってしまったよ。

 もっとも、伊東は外せない存在だと改めて思わされた。4アシストは素晴らしかったし、守備を固めてくる相手に対して効果的なポジションを取り、上手く攻略していた。
【PHOTO】日本代表のシリア戦出場16選手&監督の採点・寸評。スコアラーと指揮官に7点台の高評価。MOMは4Aの14番
 久保も見事なミドルシュートや個人技が目立っていた。でも、シリアのレベルを考慮しないといけない。強い国が相手ならば、両サイドの伊東と浅野があそこまで高いポジションに居続けられないし、いつも言っているけど、相手が格下なんだから、自分たちが強くなったという"錯覚"には注意しなければならないよ。

 アジア2次予選では、グループの2位までが最終予選に進出できる。初戦で日本に0-5で敗れたミャンマーも、リードされても攻撃に出てこなかった。日本以外の3か国は、首位を諦めて2位通過を狙っているんじゃないかな。

 シリア戦は日本にとって、ホームで戦っているような展開になった。アジアサッカーの普及のためには、格下との試合も意義がある。ただ、格下の国に進歩が見られない。これだけ明確な力の差があると、双方にとって強化につながるか疑問だ。

 またシリア戦は、テレビ中継がなかった。本来は避けなければならない事態だけど、深夜のキックオフでこの内容では、見ても面白くないよね。戦う前から日本の勝利が確定しているならば、放送はなくてもいいんじゃないか。そう考えてしまうような、残念な試合だった。

 ミャンマー戦後にも言ったけど、実力差が大きいと不要な怪我につながるリスクもある。制度上、難しいのは分かっていても、アジアカップでワールドカップ予選を兼ね、下位の国・地域のための大会を作り、その勝者が日本などの強豪国と対戦する仕組みにしてほしくなってしまうよね。

次ページ真剣勝負のアジアカップは楽しみだ

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