【風間八宏の育成改革2】セレッソで行なわれる未来の指導者養成プロジェクト。“本気の人”が集まる風間塾とは?

2023年10月25日 本田健介(サッカーダイジェスト)

指導者のノウハウを学べるプログラムに

多くの熱意ある人たちが参加している同プロジェクト。このなかから将来の有望な指導者が現われるかもしれない。(C)cerezo osaka sports club

 C大阪のアカデミー技術委員長を務める風間八宏氏が行なっている"育成改革"。パート2としては、以前にも紹介した"風間塾"の様子を改めてお届けしよう。

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 2021年1月にC大阪のアカデミー技術委員長に就任した風間八宏氏が、新たにスタートさせたプロジェクトがあるのはご存知だろうか? その名も「風間塾セレッソ大阪指導者養成所」だ。

 同プロジェクトは、受講生を一般募集し、風間氏が掲げる技術の6項目(止める・蹴る・運ぶ・受ける・外す・見る見ない)にフォーカスしながら、指導者のノウハウを学んでもらうというもの。

 受講料は決して安いものではない。ただ、それは「本気の人に来てほしい」という願いもあるからこそ。現に全国から熱い"塾生"が参加している。

 今年夏にはその様子を取材させてもらったが、何より感じたのは受講生たちの学びたいという意欲と活気である。中には深夜バスに乗って関東から大阪に移動し、トレーニングに参加している人もおり、それでも「このチャンスを生かしたい」との想いは強いという。

 風間氏の「世の中にはトライすることを怖がり、物事から逃げてしまう人もいると思う。でも本気な人たちは、どんなことにも積極的に触れ、やってみる。だからこそ上達のスピードが早い。何事においても"素直な本気"というのは、大きな資質」との言葉も印象的だ。
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 そして筆者が実際に受講生たちと一緒に練習に参加させてもらうと、普段、外から見ている「止める・蹴る」はやはり奥が深く、当たり前ながら相当に難しいことが分かる。例えば3人一組で、一列に並び、中央の人は小さいグリッドの中でパスをもらい、ターンしてパスをする。

 このメニューで意識されていたのは、次のプレーに最速で動ける場所にボールを止め、相手が奪いに来られないようなターンをすること。筆者も頭では理解して挑戦してみたのだが、なかなか身体が言うことをきいてくれない。

 それでも意図が明確であるからこそ、その後のタッチ制限のある"鳥かご"、ハーフコートでの紅白戦など一つひとつのメニューに熱中でき、時間はあっと言う間に過ぎていく。手前味噌ながら少しずつ上手くなっていく実感も掴め、受講生たちも楽しくて仕方がないのだろう。ひとりの受講生は日常から机の下でボールを扱い、感覚を掴むようにしているという。そう語る表情は実に充実していた。

 

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