ミランで本田に課せられた難易度の高い役割。守備で大きく貢献しながら、「ゴール」を奪う――

2016年02月08日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

負荷の高いプレーをフルタイムに渡って続ける。

ウディネーゼ戦で公式戦10試合のスタメン出場を果たした本田。守備では相変わらず隙がないものの、攻撃でアシストやゴールは記録できなかった。(C)Alberto LINGRIA

 ミラン対ウディネーゼ戦(現地時間2月7日のセリエA24節)で本田圭佑は、公式戦10試合連続のスタメン出場を果たした。

【試合レポート】ミラン 1-1 ウディネーゼ

 ポジションは今やお馴染みとなった右サイドハーフ。この日はウディネーゼが実質5バックの布陣で堅守速攻に徹してきたため、ミランは普段比べれば組み立てがスムーズだった。
 
 そんな中で本田は、前半から中央の敵2ライン(DFとMF)間に何度か侵入。しかし、ボールを受けても敵MF陣の激しいプレッシャーに屈して前を向けず、後や横にパスを捌くだけのシーンが続いた。
 
 少なくとも前半は、繋ぎのパスこそ安定していたものの、アタッキングサードでの仕掛けのドリブルやチャンスに繋がるパスなどは皆無だった。
 
 後半はクツカに代わってバロテッリが入り、ニアングがCFから左サイドハーフにチェンジ。中央の2ライン間で足下にボールを貰うトップ下のような役割を好むバロテッリに押し出されるような形で、本田は前半よりも右サイドに開いてプレーする機会が増える。49分には早速、右サイドのペナルティーエリアの角から左足でクロスを送り込んだ。
 
 その後も、オフ・ザ・ボールの動きで何度かスペースを突く。72分にはボアテングとのダブルワンツーで好機を演出し、その直後には右サイドを抜け出してクロスを供給。さらに73分には再び前を向いてドリブルし、ペナルティーエリア手前で直接FKに繋がるファウルを奪った。
 
 そして78分には、ペナルティーエリア手前でこぼれ球をトラップすると、ほぼフリーで左足のシュート。しかしこれはボールの芯を捉えられず、ゴールの枠を外した。結局、これがこの日唯一のシュートとなった。
 
 スタッツを見れば、クロスの5本は両チーム最多で、最高速度の31.69kmはチームトップ、総走行距離の11.416kmはチーム2位。守備では常に最終ラインの手前まで戻って守備ブロックに参加し、攻撃ではアタッキングサードまで即座に駆け上がる負荷の高いプレーをフルタイムに渡って続けて、チームのために身を粉にして働いた。
 
 シニシャ・ミハイロビッチ監督が、ウディネーゼ戦の前日会見で語った「本田は常に献身的で、チームをすごく助けている」という言葉を実証するプレーだったと言っていいだろう。
 
 ただ、指揮官は同時に「ただ、ゴールが足りない。できるだけ早いうちに決めてほしい」ともコメントしていた。今シーズンのセリエAでは3アシストしているものの、ゴールに関してはゼロ。振り返れば、2得点した2014年10月19日のヴェローナ戦以来、セリエAでは約1年4か月もゴールがない。
 
 左サイドで同じ役割を担うボナベントゥーラ(ウディネーゼ戦は怪我で欠場)は、直接FKのキッカーを担っていることもあり、ここまでセリエAで5ゴール・9アシストを記録。その差は大きい。
 
 これまで通り守備で大きな貢献を果たしながら、攻撃でゴールやアシストを積み上げるのは容易ではないだろう。とはいえ、今の本田にはそんな難易度の高いパフォーマンスが期待されているのもまた事実。次節のジェノア戦(2月14日)に注目したい。
 
文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
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