【福岡】J1で生き残れるのか? 鹿島戦で見えた収穫と課題を検証

2016年02月01日 中倉一志

ミス絡みで失点するも、流れのなかで崩されるシーンはほとんどなかった。

冨安(21番)は果敢にボールを奪いに行くなど、守備では及第点のパフォーマンスを見せた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 過去2度の昇格も1年での降格を余儀なくされた福岡にとって、今季の目標はJ1定着だ。昨季同様に「堅守速攻」で生き残りを目指す。
 
 ここまでのキャンプで重点的に取り組んできたのは、チームのベースである「堅守」をグレードアップすること。その点に関しては、ニューイヤーカップの鹿島戦(0-2)である程度、手応えが感じられた。
 
 2失点はミス絡みのもので、流れのなかで崩されるシーンはほとんどなかった。井原監督も「去年のベースである組織的な守備は、自然と頭や身体が理解している。去年以上のものを作り上げて行けるなと感じている」と口にしている。
 
 もちろん、J1では危険な場所でのミスは命取り。不用意なミスをなくすことが大前提にはなるが、まだ調整段階であることを考えれば、それほどネガティブに捉える必要はないだろう。
 
 反面、課題として浮き彫りになったのは攻撃面。ボールを奪って素早く攻めるというコンセプトはあっても、チームとしての崩しの形は見えなかったし、奪ったボールを簡単に相手に渡してしまうことも多かった。

 昨季からの流れで言えば、ウェリントンをターゲットにして、そのセカンドボールを展開する形が多くなることが予想される。しかし、この日の試合でもそうであったように、ウェリントンが厳しいマークに合うことは十分に予想され、新たなオプションは不可欠だ。
 
 宮崎キャンプではニューイヤーカップを含めて6試合が予定されているが、実戦のなかで攻撃陣のコンビネーションをいかに高められるかが、キャンプでの最重点課題になる。
 
 昨季はチーム一体となったアグレッシブなスタイルで「史上最強の3位」と呼ばれる成績でJ1昇格を決めたが、それはあくまでもスタートラインに立っただけに過ぎない。J1定着のためにはさらなる成長が求められ、そのためには昨季以上のハードワークが欠かせない。
 
 宮崎キャンプは、その土台を作る期間。どこまで自分たちを追い込めるか。それが鍵を握っている。

取材・文:中倉一志(フリーライター)
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