なぜ30歳でピッチを離れるのか。岩渕真奈が涙の引退会見「ベストなタイミング。後悔はない」「W杯に行けたとしても…」

2023年09月08日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

「もったいないよと言われたし、昨日まで声を掛け続けてくれるチームもあった」

涙を必死に堪えながら言葉を紡ぐ岩渕。写真:鈴木颯太朗

 日本女子代表のエースとして長年活躍した岩渕真奈が9月8日、現役引退会見を実施した。

「プロサッカー選手を引退する事に決めました」

 まだ30歳。直近の女子ワールドカップのメンバーから落選したとはいえ、日本中のファンが来夏に迫るパリ五輪での雄姿を期待していただけに、インスタグラムで突如なされた発表は、大きな衝撃を与えた。いったいなぜ、この決断を下すに至ったのか。

 SNSでの報告から1週間後。多くの報道陣の前で、岩渕は目を真っ赤にし、思いをこう明かした。

「これからサッカーをやっていったら、自分の今のベストというか、やりたいプレーができないなって感じた時だったので。そう考えた時に自分のベストなタイミングでした。寂しくないわけではないですけど、後悔はないです」

 156センチと小柄ながら、類まれな攻撃センスとボディバランスで日本サッカー界に確かな足跡を残した。ただ、そのキャリアは怪我との戦いの歴史でもある。
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「ワールドカップの落選がフォーカスされがちで、それがあったからと捉えられるのが嫌で、今、自分でこうやって伝えたいっていう風に言ったんですけど…。本当に昨シーズン、足首の手術から始まったなかで、アーセナルでなかなか自分のベストなサッカーができなくなっていて。出場機会も得られなくなったなかで、ワールドカップを目ざして、トッテナムに移籍したんですけど、それでもやっぱり、なんだろう…。

 自分がやってきたサッカーが今まで通りできなくなっている感覚もあったし、楽しいって感じることより、色んなプレッシャーだったり、苦しいと感じることのほうが昨シーズン1年通してあって、少しずつ(引退を)考えるようになりました。

 最後、本当に残念な形になってしまいましたけど、正直ワールドカップに行けたとしてもワールドカップで最後かなって思っていたので、本当に昨シーズンを通して考えた結果かなと思います」

 周囲からは翻意を促され、熱烈な獲得オファーもあった。しかし、岩渕の決意は固かった。

「相談は何人かにしかしていないんですけど、もったいないよとも言われたし、本当に昨日まで声を掛け続けてくれるチームがあったりとか。そのなかで自分の正解が何なのか分からない時もあったんですけど、それでも、自分が求めるというか、自分が考えるプロサッカー選手のあり方として、そこは反したくないというか。色んな考えがありますが、自分は上を目ざしてずっとやってきてたので、そこが見えなくなってきて、こうなりました」

 14歳でトップリーグデビューを果たし、18歳でワールドカップ制覇に貢献。その後も大黒柱として、なでしこジャパンを、女子サッカーを牽引し続けた。

 日本が誇る"小さな巨人" 岩渕へ、大きな感謝を伝えるとともに、まだまだ続く人生でさらなる大活躍を期待したい。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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