「性的虐待じゃない!」キス騒動で揺れるルビアレス会長の母親が“断食ストライキ”で猛抗議!「非人道的で血なまぐさい仕打ちだ」

2023年08月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

代表選手ら約80名が解任要求の“招集ボイコット”を発表

エルモソを強く抱きしめるルビアレス会長。このあと頭を両手で掴み、唇へのキスに及んだ。(C)REUTERS/AFLO

 スペイン・サッカー界を揺るがす"キス騒動"の波紋は広がるばかりだ。

 事の発端は現地8月20日、オーストラリア&ニュージーランド共催の女子ワールドカップ決勝の試合後に起きた。スペイン女子代表がイングランドを1-0で下して悲願の初優勝を飾って歓喜に沸くなか、スペイン・サッカー連盟(RFEF)のルイス・ルビアレス会長がチームのFWジェニファー・エルモソの頭を両手で掴んで、口にキスをしたのだ。
【動画】世界中から非難を浴びる"キス事件"の決定的瞬間! 

 この行き過ぎた振る舞いは瞬く間に非難の対象となり、一大騒動に発展する。それでも25日に行なわれたRFEFの臨時総会でルビアレス会長は「辞意はしない。最後まで戦う」と強硬に主張。あのキスは「お互いに共感し合って、興奮状態のあるなかで同意したもの」と説明し、キスを求めたところ、エルモソから「OK」をもらったと言い張って、火に油を注いだ。

 すぐさま猛然と反論したのがエルモソ本人だ。「自分は弱者であって暴行の被害者です」と声明文で書き出し、「キスに同意する間などなかったし、会長を有頂天にさせようとしたつもりも絶対にない」と真っ向から否定。「自分の言葉が疑われたり、ましてや言ってもいない言葉を捏造されたりするのは許せない」と怒り心頭だ。

 エルモソの声明文を受けてスペイン・女子サッカー選手会の「Futpro」も動いた。今大会に出場したスペイン女子代表選手ら全員を含むおよそ80名が、「ルビアレス会長が辞任しないかぎり、国際ゲームには出場しない」とボイコットを宣告。ルビアレス会長の指示によってRFEFはエルモソの主張が偽りだと断じて、法的処置を取ると表明するも、FIFA(国際サッカー連盟)がルビアレス会長に対して90日間の職務停止を言い渡し、現在はその対応に追われている。
 
 そんななか、ルビアレス会長は故郷のアンダルシア州グラナダ県モトリルに滞在している。そこで驚きのハプニングが起きた。なんと会長の母親であるアンヘレス・ベハルさんが地元のディビナ・パストーラ教会に立てこもって、いわゆるハンガーストライキに突入したのだ。司祭が去ったあとに自身の妹とともに教会に居座り、息子への不当な扱いが解消されるまで断食を続けると宣言したのである。

 ベハルさんはスペイン通信社『EFE』の取材に対して、「私の息子への非人道的で血なまぐさい仕打ちが終焉を迎えるまでやめない」と語り、「映像が証明している。双方に同意がある以上、性的虐待じゃない!」と語気を強め、「なぜ彼に八つ当たりをするのか。この一連の話の裏には何があるのか」と疑問を呈した。

 さらに「息子は誰も傷つけていない」と話し、エルモソに対しては「真実を話して、最初の考えを貫いてほしい」と訴えかけた。エルモソは当初、「キスは愛情の自然表現だった」などと発言して意に介していないと報じられたが、彼女自身はコメントそのものが捏造であったと否定している。

 母親まで巻き込む事態を招いてしまったルビアレス会長。スペイン検察当局は同会長がエルモソの頭を押さえてキスした行為が性的暴力に該当するのではないかと調査を開始しており、スペイン国内の有力フェミニスト団体は大規模な解任要求デモを呼びかけ、現地28日にRFEFのビル前で実施された。

 もはや逃れられない完全なる四面楚歌。抗議デモの怒号が響くなか、28日には再度RFEFの臨時総会が開かれており、なにかしらの新たな動きがありそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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