“なでしこ”を一過性のブームで終わらせないために。「WEリーグ」には世界と伍して戦う選手がずらり。推しは推せる時に推せ

2023年08月24日 西森彰

WEリーグ勢が上位を独占

いかに認知度を高めるか。「露出拡大の勝負の年」と定めた今季のWEリーグに注目だ。写真:鈴木颯太朗

 オーストラリア&ニュージーランドで共催された女子ワールドカップは、決勝戦でスペインが昨季の欧州女王イングランドを下し、世界の頂点に立った。

 そのスペインをグループステージで破ったのが、なでしこジャパンだ。ベスト8で大会を後にしたとはいえ、4勝1敗の好成績を残した。

 そんななか、今週末の8月26日から、WEリーグの2023-24シーズンが始まる。将来的には、WEリーグが代表人気から独り立ちしていかなければならないが、現状を考えると代表の活躍がリーグを盛り上げるブースターの1つであることは否定できない。世界大会で盛り上がった流れを、WEリーグにもつなげていきたい。

 WEリーグのレベル、価値は、WEリーガーたちが世界の舞台で証明してくれた。今大会のなでしこジャパンは23名の選手中9名が海外組で、過半数の14名が昨季WEリーグでプレーした選手で構成されていた。

 そして、これまでなでしこリーグ→WEリーグと国内でプレーしてきた宮澤ひなた(マイナビ仙台レディース)がゴールデンブーツ(大会得点王)を獲得する。決勝、3位決定戦まで勝ち上がったチームと比べると、2試合少ない5試合消化での個人タイトル受賞だった。

 それも、実力の劣る相手だけから稼いだ数字ではなく、4-0で勝利したスペイン戦では先制点を含む2得点。このスペイン戦では、残る2点も昨季、WEリーグでプレーした植木理子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)と田中美南(INAC神戸レオネッサ)が奪っている。
 
 FIFAは個人スタッツランキングを発表しているが、90分換算での走行距離でも宮澤が首位に輝き、2位が藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、3位に田中美とWEリーグ勢が上位を独占(そのほかにマンチェスター・シティの長谷川唯もランクイン)した。

 世界に伍して戦う選手たちが所属しているWEリーグだが、観客動員数は伸び悩んでいる。その最も大きな原因は、単純に認知度の低さではないか。

 普段、女子サッカーを見る機会がない人も、NHKの地上波とBSでの試合中継映像を通じて、なでしこジャパンの奮闘を目にすることができた。そこで、初めて女子サッカーの面白さに気づかされた人もいる。

 そして露出機会が増えれば、それだけファン獲得の確率も高まる。女子サッカーを「4年で2回だけ盛り上がるスポーツ」で終わらせないためには、多くの人に認知してもらえるきっかけ作りを、あらゆる部分で増やし、続けていくことが必要ではないだろうか。

【PHOTO】長谷川唯のダブルピース、猶本光の決めカット、熊谷紗希のキラキラネイル...なでしこジャパンFIFA公式ポートレートギャラリー

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