神村学園を撃破する2発でキラリと光った“東邦のネイマール”。強さも速さも兼備する2年生FWの進化が止まらない!【総体】

2023年07月30日 森田将義

50メートルを6秒1で走破。大舞台に強いのも魅力だ

インターハイ1回戦で鮮烈な活躍をみせた東邦の山端(手前)。憶えておいてほしい名前だ。写真:森田将義

「(インターハイは)選手たちのお披露目会だと思う。全国ベスト8に行って選手たちが、進路を勝ち取ってくれるのが僕の願いです」

 インターハイ予選の決勝後、全国への意気込みを問われた東邦(愛知)の杉坂友浩監督はこんな言葉を口にしていた。初戦の神村学園(鹿児島)戦、華々しいお披露目と形容するに相応しいゲームを展開し、東邦が2-1で勝利した。

「個の力で負けているとは思っていなかった」という指揮官の言葉通り、プロ注目のDF朴勢己(3年)がゴール前で身体を張った守りをみせて失点を回避すれば、元U-16日本代表のMF森一琉(3年)も持ち前のサッカーセンスで攻撃を牽引。DF名古屋佑乃介(2年)、FW廣江優(2年)ら下級生らも自らの名前を売るパフォーマンスを見せるなか、ひと際眩いばかりの存在感を示したのが、2年生のFW山端寧生だ。

 本職は積極的に相手DFの背後を狙っていくタイプのFWだが、ブラジル代表のネイマールに憧れる通り、ドリブルにも自信を持つ。この日のように左ワイドで起用された際は、意図的にプレースタイルを変えていくのが特徴的だ。

「サイドで起点を作らないとクロスボールが上がらないので、サイドでしっかり起点を作って、攻撃を組み立てようと考えている」

 世代別代表選手を複数揃える優勝候補が相手でも、ボールを持てば自信はあった。序盤に思い切りの良い仕掛けでゴール前に持ち込み、自信を深めた山端は果敢に縦突破をチャレンジし続けていく。すると、ひとつ目の見せ場が訪れたのは前半27分。これまで通り縦に仕掛けると見せかけ、空いた中央に切り込むと、思い切りよく放ったシュートが相手DFに当たりながらも、ゴールネットに吸い込まれた。

「ここまでやれると思っていなかったけど、最初に立って行ったら"行ける"と思った。そこから縦を仕掛けていたら、相手が中を警戒して空いたので入っていった」

 狙い通りの仕掛けで先制点を叩き出すと、2度目の歓喜を呼び込んだのは後半22分。左サイドでボールを持った山端は、「相手が強いのは分かっていて、前半からピンチが多かった。どこかでもう1点取って、突き放したい。前半から自分が決めたいと思っていた」と、迷いなく仕掛けて、ペナルティエリアに入ったところで倒され、PKを獲得。本来のキッカーは森だが、「こんな大舞台で2点決めるというのも、なかなかないんで自分が蹴ると強い意志で蹴りました」と山端はキッカーに名乗りを挙げて、2点目を蹴り込んだ。試合終盤にチームは1点を返されたが、このゴールが決勝点となり、東邦が勝利を収めた。
 
 プレミアリーグWEST勢との一戦でアップセットに貢献した山端だが、愛知FC一宮U-15時代は地区トレセン止まり。だが、高校入学後に身体が大きくなったことで50メートルを6秒1で走れるまでにスピードアップ。加えて「このままではデカい相手と戦えない」と、チームとして取り組む初動負荷トレーニングに加え、プロテインを摂取したことで体重が2、3キロ増加した。プレーに速さと力強さが増した結果、チームでの出場機会を伸ばし、国体のメンバー入りも果たした。

 昨年行なわれた栃木国体の初戦でも決勝点を奪うなど大舞台に強いのも彼の魅力で、大勢へのアピールに成功した今後は、さらなる飛躍に期待が高まる。「もっと結果を残して代表に入りたい」と本人もステップアップに意欲十分で、今後は彼の名前を聞く機会が増えるだろう。

 山端寧生の名前を憶えておいて損はない。

取材・文●森田将義

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