【移籍専門記者のマル秘情報】ベニテス留任ならイスコのユーベ移籍は成立していた!? ジダン就任でポグバ争奪戦も新展開へ

2016年01月15日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

シナリオを変えたのはマドリーのペレス会長のきまぐれ。

ベニテス前新監督の下では持ち味が活かされていなかったイスコだが、ジダン新監督はこのテクニシャンを極めて高く評価。初陣となった1月9日のデポルティボ戦でも先発起用している。(C)Getty Images

 イスコがユベントスに?
 
 トリノでは数日間、その可能性が心から信じていた。そして何より、レアル・マドリーのラファエル・ベニテス監督の留任を祈っていた。もし解任が見送られていれば、イスコのユーベ移籍はこの1月に本当に決定していたかもしれない。
 
 育成年代からスペイン代表で共に戦っていた盟友アルバロ・モラタが説得に乗り出していたし、ユーベのファビオ・パラティチSDも電話やメールで「ウチに来れば君の本当の力を発揮できる。ハッピーになれる」と繰り返し甘い言葉を投げかけ、マドリーに対しては3000万ユーロ(約42億円)を超える移籍金を準備していたのだ。
 
 しかし、フロレンティーノ・ペレス会長の気まぐれが、すべてのシナリオを書き換えた。年明け早々にベニテスが解任され、後釜にはジネディーヌ・ジダンが就任したため、イスコは放出リストから外された。少なくとも今冬に関しては――。ジダンはイスコを高く評価しており、チャンスを与えたいと考えているようだ。それが本当かどうか、とりあえずは見守ることにしよう。

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 この状況をほくそ笑んでいるのが、マンチェスター・シティだ。というのも、新シーズンの監督就任が確実視されるジョゼップ・グアルディオラのお気に入りであるイスコは、夏の補強に向けた重要なターゲットだからだ。今冬にマドリーに留まれば、夏に向けてじっくり時間をかけて獲得への戦略を練られる。
 
 ちなみに、この「マンチェスター~トリノ~マドリード」というラインには、ポール・ポグバの未来も絡んでいる。この新しいフェノーメノ(怪物)に対してシティは昨夏に続いて今夏に本格的なアプローチを仕掛けてくるだろうが、フランス代表の大先輩であるジダンもポグバに惚れ込んでいるひとりなのだ。
 
 実際、ジダンは今後のキャリアについてどんな見通しを持っているか、最近ポグバに電話で訪ねたという話も伝わっている。スペインとフランスのビッグタレントを巡って、マドリー、ユベントス、シティというメガクラブが絡むというこの構図は、はたして今後どんな展開を迎えるのか。非常に興味深い。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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