サッカーが遊びからプロに変わった瞬間は? しばしの沈黙のあと、FC町田ゼルビアの翁長聖が口にした予想外の回答

2023年07月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

不安定で過酷な側面もあるが

今季、町田の躍進に大きく貢献している翁長。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 子どもの頃は単なる遊びだったはずのサッカーが、いつから仕事に変わるのか。プロになった瞬間か、また別のタイミングか。そんな素朴な疑問を、今季のJ2リーグでともにFC町田ゼルビアの躍進に寄与している翁長聖と平河悠に投げかけると、後者は次のように答えた。

「今年からプロになって給料をもらうようになって、仕事だと思いました」

 大卒ルーキーの平河がそう話す一方、翁長は質問されてからしばしの沈黙のあと、予想外の答を口にした。

「仕事と思ったことが一度もありません。中学を卒業して、(出身地の兵庫から)関東に来て(帝京第三高の)寮に入ったのも楽しいからそういう決断をしました。サッカーをやりたい想いはずっとあって、だからプロになっても仕事と感じたことはありません。これから先もその感覚はぶれないだろうと思っています」
 
 プロフットボーラーは不安定で過酷な職業との側面もある。年俸交渉での0円提示、深刻な怪我など悲劇に見舞われるケースもある中で、翁長はそれでも「サッカーが楽しい」という。2017年に長崎に加入して以降、ここまでプロとして歩んできた6年半、その感覚を維持できているスタンスは正直、素晴らしい。

 好きなものを仕事にして挫折する時もある現代社会の中で、翁長はプロの世界で純粋にサッカーを楽しめている。もちろんプロフットボーラーは特殊な職業で一般社会の枠組みで捉えられないが、少なくとも──。自分が携わった仕事を「楽しい」と言えるのはとても幸せなことだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

2023明治安田生命J2リーグ第28節
FC町田ゼルビア-徳島ヴォルティス
7月29日(土)18時キックオフ
町田GIONスタジアム
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https://www.jleague-ticket.jp/club/mz/

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