【岩本輝雄】ハーランドはなぜフリーになれる? あまりにも速い動き出し。そして三笘への期待感。グリーリッシュより絶対にいいよ

2023年07月25日 岩本輝雄

そのタイミングを、ハーランドは見逃さない

横浜戦で2得点のハーランド。先手を取る動き出しに目を奪われた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[Jリーグワールドチャレンジ2023]横浜 3-5 マンチェスター・C/7月23日/国立競技場

 マリノス対シティ。盛り上がったね。両チーム合わせて計8ゴール。見に来たお客さんも喜んだんじゃないかな。

 試合には敗れたけど、マリノスは特に前半の内容は良かった。シティのビルドアップと、キーパーの正確なフィードを警戒したのか、いつものハイプレスはそこまで見られなかったけど、途中までは2点をリード。しっかりとチャンスをモノにした。

 ロペスと松原が得点。見事な形でゴールを奪った一方で、エウベルがやっぱり効いているよね。キレキレのプレーで局面を打開。シティ相手でも存在感を放っていた。

 ビハインドのシティは、さすがにシーズン前だから、多少は身体の重さが感じられたけど、前半のうちに追いつくと、キーパー以外の全員を交代させた後半にしっかりと逆転。さすがの戦いぶりだったね。

 大注目のハーランドは途中出場で2ゴールと期待に応えた。その決定力はもちろん凄いんだけど、それよりも目を引いたのがフリーになる動き方。

 チームがボールを動かしながら、攻撃を組み立てていく。その間、ハーランドはほとんど動かない。だけど、マリノスのボランチの脇とかで受け手に縦パスが入ろうとする瞬間、ハーランドはスッと動いてマークを外す。

 縦パスが"入った瞬間"ではなく"入る前"。マリノスの守備陣からすれば、ハーランドを見ると同時に、縦パスの受け手にも注意を向けなければならない。そのタイミングを、ハーランドは見逃さない。

 そこでフリーになれるし、ディフェンダーがついてくれば、空いたスペースに動き直す。すべてが先手を取るポジショニング。派手さはないんだけど、効果は抜群。こういうことかって、改めて思ったよ。
【厳選ショット】6万人が熱狂!J1王者と欧州王者のゴールショー!!|クラブ親善試合 横浜3-5マンチェスター・シティ
 またシティの選手たちは、これも細かいことなんだけど、一つひとつのトラップの質が違うなと思った。どんな状況でもピタッと止めるというか、次を考えて正確にボールを置く。だから全体のプレースピードが速い。

 現代サッカーではトレンドの1つでもある両サイドバックの攻撃参加もスムーズで、全員が流動的に動いて、テンポ良くパスをつないでいく。これぞ欧州王者の貫禄を堪能しながら思ったのは、ここに三笘が入ったら、もっと面白そうだし、三笘も活躍できるのではないか、ということ。

 左サイドのグリーリッシュ。イングランド代表だし、良い選手であるのは分かるけど、彼よりも三笘はもっと縦に行けるし、もちろんカットインもできる。攻撃にさらなる選択肢をもたらすだろうし、フィットしそうだよね。

 会見でシティのグアルディオラ監督は三笘を評価していたようだけど、あながちリップサービスではなく、本当に興味のある1人なんじゃないかな。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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