【セルジオ越後】なでしこジャパンはW杯大勝スタートも、相手のレベルに疑問。女子サッカーの発展は簡単な宿題ではない

2023年07月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

POMは選びたくない

日本とザンビアには大きな実力差があった。(C)Getty Images

 なでしこジャパンが女子ワールドカップの初戦でザンビアに5-0で圧勝した。

 相手選手の身体能力は脅威だったけど、技術や戦術では日本がはるかに上回っていた。大会に良い形で入れたのは良かった。ただ、10点取れてもおかしくないくらいの実力差があり、勝って当然の試合に見えた。

 プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)は、あえて選びたくない。実力差が大きいと、勝ったチームの選手はみんな上手く見えるもの。ザンビア戦を見て日本の選手を評論するのは、選手に対して失礼になると思うくらい、大きな差があった。

 また、相手がシュート0本だったために活躍の機会が少なかったキーパーやディフェンダーにとっては、アンフェアな選考になってしまう。

 今大会は出場枠が24から32に増えた。女子サッカーの普及のためにFIFAが努力しているのが分かるけど、世界レベルかどうかが疑問な国も出られるため、大味な試合も目についている。
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 女子スポーツは宗教的事情もあり、男子に比べて国際的な拡大が難しいのではないか。サッカーも同様で、危機感を感じている。一部の国は上手くいっているけど、数は限られていると思う。サッカー界にとって、そんなに簡単な宿題ではないよね。世界への普及のためには、今大会は重要だ。

 なでしこジャパンにとっても大事な大会だ。優勝した2011年のドイツ大会の頃には澤穂希という絶対的な存在がいた。今のチームにも長谷川ら良い選手がいるけど、サッカーファンの方以外でも知っているかは、自信が持てない。

 日本は、グループステージ突破が当たり前のレベルにいる。スペインが通過すると予想されるなかで、順位次第で決勝トーナメントの対戦国が変わってくるため、1位か2位かが焦点になる。

 本当の意味でチームの査定をするのは、決勝トーナメントに入ってからになる。そこまでは、焦らずにじっくりと見ていきたい。なでしこのヒロインを見つけるのは、それからでもいいんじゃないかな。

 次戦のコスタリカ戦も、相手を圧倒する展開が予想される。そして、勝ち上がっていけば、世間の注目度も上がってくるはずだ。優勝や決勝進出、選手の知名度向上に期待したいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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