【マドリー】ジダン、リーグ戦白星発進は選手時代も含めてキャリア初!

2016年01月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

6度目の“デビュー戦”でついに勝利! 新たな歴史が始まった。

選手を納得させ、鼓舞させるに十分な人間性やカリスマ性を現時点ですでに有しているジダンだが、名将として名を残すためには、それだけでは不十分。今後、彼ならではの高度な戦術や采配が見られるだろうか。 (C) Getty Images

 1月9日、レアル・マドリーはリーガ・エスパニョーラ第19節でデポルティボをホームに迎え、5-0の大差でこれを下した。
 
 解任されたラファエル・ベニテス監督の後を受けたジネディーヌ・ジダンのトップチーム監督デビュー戦として注目されたこの一戦、マドリーはこれまでとは見違えるようなプレーを見せ、誰もが満足げだった。
 
 無事に初戦を飾ったジダン監督は「選手の姿勢に満足している。後押ししてくれたサポーターにも感謝している」と語ったが、すぐに「もっと向上させなければならない」と気を引き締めている。
 
 さて、新たなキャリアのデビュー戦を白星で飾ったジダンだが、彼にとってこれは初の体験である。1988年のプロデビュー以来、彼は新チームでのリーグ初戦で勝ったことがなかったのだ。その輝かしいキャリアを考えると、これは意外に思えるだろう。
 
 ジダンの選手としてのプロデビューは16歳の時。88-89シーズンも残り2試合というところで、周囲の反対を押し切ってカンヌのジャン・フェルナンデス監督が招集し、ナント戦の78分にピッチに送り出したのだ。
 
 この試合は1-1の引き分けに終わったが、デビュー戦ということでボーナスを貰い、以前から欲しかった「リーバイス」のジーンズを買うことができたという微笑ましいエピソードが残っている。
 
 このクラブで頭角を現わしたジダンは、92年にボルドーへ移籍。ここでのリーグデビューはリヨンとの開幕戦だったが、結果はスコアレスドローに終わった。
 
 95-96シーズン、UEFAカップ準々決勝でミラン相手の大逆転勝利に貢献したことで、セリエAのクラブから注目されるようになった彼は、96年夏にユベントスへ移籍。レッジャーナとのリーグ初戦は1-1と引き分けている。
 
 このシーズンはユベントスにとって、多くのタイトルを獲得するなど歴史に残る充実感に満ちたシーズンだったが、ジダンは偉大なOBミシェル・プラティニとの比較やカルチョのスタイルに苦しみ、まだチームのなかで絶対的な地位を確立できなかった。
 
 しかし、そこからスーパースターとしての階段を凄まじい速さで駆け上がっていったジダンは、2001年夏に当時の最高額である移籍金でレアル・マドリーに活躍の場を移す。
 
 スペイン独特の生活スタイルに馴染めず、ファンやメディアからの多大な期待と重圧に押し潰れそうになっていた加入当初のジダンが迎えた、バレンシアとのリーグデビュー戦は0-1の敗戦。彼がシーズン中盤で本来のパフォーマンスを見せるまで、マドリーも低迷を続けた。
 
 ちなみに、リーグでのデビュー戦では勝利のないジダンだが、公式戦ということであれば、ユベントス時代はリーグ開幕戦に先んじて行なわれたコッパ・イタリア2回戦(8月27日)でフィデリス・アンドリアに2-0で勝利している。
 
 なおマドリーでの最初の公式戦は、8月19日に行なわれたスーペルコパ第1戦で、ここではアウェーでレアル・サラゴサと引き分け(1-1)。3日後の第2戦では3-0で勝利を飾り、最初のタイトルを獲得している。
 
 2006年ドイツ・ワールドカップ決勝戦で退場という衝撃的なかたちで現役生活を終えたジダンは、後に解説者、マドリーのアドバイザー、スポーツディレクターを務め、2013-14シーズンはカルロ・アンチェロッティ監督のアシスタントとして現場復帰を果たす(この時は初戦勝利)。
 
 そして翌シーズンにはマドリーのBチームであるカスティージャで監督デビューを果たしたが、ここでもリーグ(3部)のデビュー戦ではアトレティコ・マドリーBに先制しながらも、後半に2点を失って逆転負けを喫した。
 
 しかし今回、ついに彼は勝った。現役時代とは異なり、トップチームの監督としてのキャリアを白星でスタートさせ、「幸せな気分だ」と語っている。
 
 選手として全てを勝ち取ったジダンは、果たしてベンチでも輝かしい伝説を創り上げることができるだろうか。新たな歴史は始まった。
 
◎ジダンのリーグデビュー戦の成績
◇選手時代
カンヌ
1989年5月22日
△1-ナント(A
シーズン最終順位:20チーム中13位
 
ボルドー
1992年8月7日
△0-リヨン(H
シーズン最終順位:20チーム中4位
 
ユベントス
1996年9月8日
△1-レッジャーナ(A
シーズン最終順位:優勝
※トヨタカップ優勝、チャンピオンズ・リーグ準優勝
 
レアル・マドリー
2001年8月25日
×0-バレンシア(A
シーズン最終順位:20チーム中3位
※チャンピオンズ・リーグ優勝、スーペルコパ優勝
 
◇監督時代
レアル・マドリー・カスティージャ
2014年8月24日
×1-アトレティコ・マドリーB(A
シーズン最終順位:20チーム中6位
 
レアル・マドリー
2016年1月9日
○5-デポルティボ(H
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