勝って当然の練習試合で2本目は沈黙。大型CFがいないのになぜ浮いたクロスを何本も上げたのか【なでしこジャパン】

2023年07月06日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

3-4-2-1システムは最適の布陣なのか

1本目に右ウイングバックを務めた清水。もう少し高いポジションを取ってもよかったのではないか。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 2023年7月5日、なでしこジャパンがオルカ鴨川FCとの練習試合(40分×3本)でトータル7−0と勝利(1本目が3−0、2本目が0−0、3本目が4−0)。しかし、試合後の囲み取材に対応した田中美南はこの日に2ゴールを決めながらもどこか冴えない表情をしていた。

「ボールを持てる時間は長かったですが、サイドに入った時の選手の関わり方や自分(センターフォワード)とインサイド(シャドー)の連係のところが…。今は合わせる段階で、もうちょっとやりかったなと。もう少し中、中で刺す、ボランチから刺して前を向けた時がチャンスだと思います。そう考えると、サイド、サイドではなく、(シャドーの藤野)あおばが前を向いた時に自分が裏へのアクションをしたほうが良かったなと思います」

 確かにボールは保持できていた。ただ、効果的な攻撃をコンスタントに繰り出せていたかと言えばそうではなかった。横には展開できれば、相手CBとサイドバックの間のスペースを狙うようなアタックをあまり実践できていなかった点で物足りなさがあった。

 この日3本とも3-4-2-1システムで臨んだなでしこジャパンで何より気になったのは、ウイングバックの使い方だ。

 1本目は右が清水梨紗、左が杉田妃和、2本目は右が守屋都弥、左が最初は杉田で途中から清家貴子、そして3本目は右が守屋で、左が清家だったが、1、2本目の両イングバックはいずれもパスをもらう位置が低く、そこからの展開に工夫があまり見られなかったのだ。縦に突破してクロスを入れても相手に跳ね返されるケースが目立ち、0−0で終わった2本目はむしろ持たされている印象さえあった。
 
 2本目、中を固めている相手にサイドから何本もクロスを入れたなでしこジャパンだが、結局は無得点。CF,シャドーの効果的な裏抜けが少なく、奥行きのある攻撃は限られた。果たして、3-4-2-1システムはワールドカップを戦ううえで最適の布陣なのか。そうした疑問が浮かぶ練習試合でもあった。

 いずれにしても、調整段階とはいえ、実力的に勝って当然の練習試合で2本目の40分間は沈黙した事実は見逃せない。大型CFがいないのになぜサイドから浮いたクロスを何本も上げるのか。本番に向けて攻撃面の改善は必須だろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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