【現地記者の英国通信】大ブレーキのチェルシーに、大躍進のレスター! これこそがプレミアファンが愛する混戦模様!

2016年01月06日 スティーブ・マッケンジー

誰も胸を張って優勝予想をするものはいない。

ポチェッティーノの下、攻守にバランスのとれた堅実な戦いぶりで躍進するトッテナム。4シーズンぶりのトップ4入りに視界は良好だ。 (C) Getty Images

 もしあなたがチェルシーのファンなら、もちろん今シーズンも試合のたびに優勝した昨シーズンのようにプレーし、タイトルを争う姿を思い浮かべただろう。しかし、残念ながら、今シーズンのジョゼ・モウリーニョのチームはそうはならなかった。
 
 私が思うにオーナーのロマン・アブラモビッチも同様のことを考えていたはずだ。しかし結局、チェルシーは勝てなくなり、最終的にモウリーニョは解任。後任を探さなければいけなくなった。
 
 そうして、チェルシー新指揮官にはフース・ヒディンクが就任した。08-09シーズンにもフェリペ・スコラーリの後任としてチームを率い、チャンピオンズ・リーグ(CL)ベスト4入りを成し遂げるなど、ヒディンクはファンから大きな信頼を得ている。彼ならばチームに安定感を取り戻すと期待されての引き戻しなのだろう。まるでモウリーニョが復帰した時のような期待感である。
 
 私が知っているヒディンクならばCL出場のためにチェルシーを上位に引き上げ、残されたCL、FAカップのカップ戦でも全力で挑むはずだ。
 
 しかし実際のところ、今シーズンの彼らに来シーズンのCL出場のために欧州制覇を期待するのは奇跡にすがるようなもので、リーグ戦でも降格ゾーンより少しだけ上の14位と、CL出場権が与えられるトップ4入りには程遠い。
 
 近年、ほぼ同じ顔ぶれだったプレミアリーグのトップ4は、今シーズンも同じような展開でいつもの顔ぶれが並ぶと大半の人が予想していた。しかし、チェルシーの出遅れによって方程式が狂い、いくつかのクラブにCL出場権の4位以内に入る絶好のチャンスを与えた。
 
 トッテナムはガレス・ベイルが在籍した11-12シーズン以来、トップ4から遠のいていたが、今シーズンの彼らは実に堅実な戦いぶりを見せ、プレミアリーグ優勝を口にする人もいるほどだ。
 
 それからもちろん、レスターについても話さなければならないだろう。
 
 一体誰が、残留争いをしていたチームがリーグの上位争いを演じると予想できただろうか? 間違いなく彼らの躍進は今シーズン最大のサプライズだ。
 
 しかし、「あくまで残留が目標」と指揮官のラニエリが口にするなど、現実的なレスターは、現時点でCL出場についてはそれほど深く考えていないはずだ。彼らが望んでいるのはプレミアリーグでひたすら勝ち続けることだけだろう。
 
 レスターに加えて、クリスタル・パレスとワトフォードも思いがけない躍進を見せている。彼らは現在CL出場圏内にはいないものの、低予算のなかでやりくりした的確な補強が当たり、健闘している。
 
 シーズンも折り返し地点となった。前半戦の激闘を見て自信を持って優勝チームを言い当てられる者はいないはずだ。しかし、こうした混戦模様こそ、プレーの質はともかく世界中のファンが愛するプレミアリーグなのだ。
 
文:スティーブ・マッケンジー
 
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