【移籍専門記者コラム】トッテナムがF・アンデルソンとベラルディを狙うが、1月の引き抜きは……

2016年01月01日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

トッテナムはイタリアにターゲットを絞っている。

トッテナムだけではなく、マンチェスター・Uも獲得を狙っているF・アンデルソン。ただ、今冬の売却を考えていないラツィオのロティート会長を口説き落とすのは、かなり難しいミッションになりそうだ。(C)Getty Images

 トッテナムが今冬打ち上げようとしている大花火が、フェリペ・アンデルソン獲得だ。インテル対ラツィオ戦(2015年12月20日)が行なわれたサン・シーロに、トッテナムの役員が代理人と一緒に姿を見せていたのは偶然ではない。ハーフタイムにラツィオのイグリ・ターレSDと歓談し、年明けに改めてゆっくり話し合う約束を取り交わした。
 
 ただ、ラツィオのクラウディオ・ロティート会長は今のところ、この1月にF・アンデルソンを手放すつもりはない。それはトッテナムが獲得を望んでいるもうひとりのMF、アントニオ・カンドレーバについても同様だ。少なくとも夏まで待つ必要があるだろう。
 
 たしかなのは、トッテナムがイタリアにターゲットを絞っていることだ。実際、ラツィオだけでなくサッスオーロに対しても、セリエAの誇る若きタレント、ドメニコ・ベラルディの獲得を打診している。
 
 ヨーロッパの主要リーグでこのレフティーほどゴールを積み重ねてきた1994年生まれの若手は、ほんの数えるほどしかいない。一級品のテクニックと高い身体能力、そして良くも悪くも強い反骨精神。タイプは違うがかつてのウェイン・ルーニーを思い起こさせる存在だ。
 
 しかし、ベラルディの未来はすでにユベントスの手中に収まっている。昨夏にサッスオーロに一旦保有権を売却したとはいえ、優先的な買い戻しオプションをしっかり確保してあるからだ。
 
 もちろんサッスオーロは、これを無視するつもりは毛頭ない。サッスオーロのジョバンニ・カルネバーリGDとユーベのジュゼッペ・マロッタGDは古くからの友人で、仕事を離れてもしばしば夕食を共にするほどの仲だ。
 
 トッテナムがユーベの足場を崩したいのならば、相場を大きく上回るメガオファーを提示するしかないだろう。その時にはユーベも、サッスオーロと利益を折半する形で売却に同意する可能性がある。
 
 いずれにしても、すべてはマウリシオ・ポチェティーノ監督が、プレミアリーグで4位以内に入り、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ出場権をチームにもたらせるかどうかにかかっている(トッテナムは19節終了時点でプレミアリーグ4位)。
 
 もしそれが実現すれば、トッテナムはイタリアで"派手なショッピング"をする予算が確保できるだろう。F・アンデルソンとベラルディのダブル獲得も、不可能ではないかもしれない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事