「主役級の働き」久保建英を1年間追い続けたソシエダ番記者がつけた“シーズン採点”は?「今やチームの顔」【現地発】

2023年06月17日 ミケル・レカルデ

「ピッチを離れても、タケは特別な存在」

ソシエダのCL出場権獲得に大きく寄与した久保。(C)Getty Images

 チャンピオンズリーグの出場権を獲得したチームにおいて、主役級の働きを見せたのだから当然評価は高くなる。採点は90点だ。

 タケ・クボ(久保建英)は才能の塊だ。イマノル・アルグアシル監督が、「今チームにもたらしてくれているものよりも、はるかに多くのものを持っている」と明言するように、弱冠22歳で、ワールドクラスの選手になるために必要な全ての資質を備えている。向上の余地がある決定力についても、9ゴール・9アシストを記録し、20得点に絡むというシーズン当初に掲げていた目標の達成までもう少しのところまで迫った。

 成功の理由は明確だ。旺盛な向上心、勝利への強い欲求、自分を信じる力、疑う余地のないクオリティ、縦に突破することも、カットインで中に切れ込むこともできるドリブル、精度の高い左足のキック、サイドも中央もこなすユーティリティ性など長所を挙げていけば、それこそきりがない。圧巻だったのは、アルメリア戦でのゴールだ。

【動画】 イニエスタが「ベストゴール」に選出!久保の超絶ゴラッソ
 右サイドでボールを受けたタケはカットインからマーカーだけでなく、相手DF全員を座らせてしまうかのようなフェイクを入れ左足を一閃。強烈なシュートをゴール左隅に叩き込んだ。アルグアシル監督がシーズン終盤、あえてサイドに張り付かせて、その単騎突破の破壊力を活かす戦い方をしたのはシーズン中のレポート記事でも指摘してきた通りだ。

 ピッチを離れても、タケは特別な存在であり続けた。日本人が完璧にスペイン語を操れるだけでもすごいことなのに、スラングまで使いこなし、マイクの前で自分の言葉で話せるインテリジェンスと天然さのギャップがまたそのキャラクターを面白くしている。

 今から考えると、加入時にチームメイトに送ったプレゼンテーション動画は、ほんの序の口だった。自らを「スペイン人の悪いところと日本人の悪いところが混じり合った人間」と評し、シーズン初めに審判の判定に対して、「PKを巡る判定で、今シーズンはVARが介入する頻度を減らすためにペナルティート(ペナルティの縮小辞=以前はPK判定だった軽微な接触プレー)は笛を吹かないと説明を受けていた。でも僕から言わせれば、すでにPKに値するシーンが2度あった」と不満を吐露。アルメリア戦後には、マイクを触って「聞こえるか」と問いかけながら、何度もアシストを「煙に巻かれた」と冗談めかして苦言を呈した。
 

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