【セルジオ越後】たった数分で“終わってしまった”エルサルバドル戦。森下も菅原も旗手も、すごく良かったけど、評価しにくいね

2023年06月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

イベントとしては成功だったけど、強化になったかは疑問

上田はもっと点を取りたかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表がエルサルバドルに6-0で圧勝した。

 チケットが完売するほどの多くのお客さんの前で、大量得点を奪った。見ている人は喜んだろうし、イベントとしては成功だったけど、日本代表の強化になったかは疑問だ。

 エルサルバドルは、日本にとって格下の相手。試合前の焦点は、森保ジャパンが引いて守る相手をどのように攻略するか、だった。

 ところが、開始3分に相手のセンターバックが上田へのファウルでレッドカードが出されて退場。エルサルバドルはいきなり1人少なくなり、試合のほとんどの時間が、11人対10人の戦いになった。

 ロシア・ワールドカップのコロンビア戦や、カテゴリーは違うけど先日のU-20ワールドカップのイスラエル戦で日本が苦戦したように、相手が強ければ10人でもそれなりの試合にはなる。

 でも、残念ながら1人少なくなったエルサルバドルは、ワールドカップのアジア2次予選で対戦する国のようなレベルになってしまった。目立った選手もいない。たった数分で"試合が終わってしまった"と言えるだろう。
 
 ワールドカップで上位進出を目ざす日本は、3月に対戦したウルグアイやコロンビアのような強豪国と試合をする必要がある。こういう言い方は申し訳ないけど、エルサルバドルと戦っても、強くはならないよ。

 そんな相手との試合で、しかも日本は数的優位。選手への評価はしにくいね。初出場の森下、菅原や旗手もすごく良かった。でも、相手の質が低ければ、選手は上手く見えるものだ。この相手ならば、誰が出ても活躍できたと思う。そのなかで高く評価するのは怖いことで、気をつけなければならない。

 上田はようやく代表での初得点を挙げたけど、今日の相手ならばストライカーとして、もう1、2点は取りたかった。他のスコアラーも、複数得点はなかった。

 20日に対戦するペルーは南米で揉まれている実力のある国だ。ウルグアイやコロンビアよりは少し劣るかもしれないけど、しっかりとした力がある。エルサルバドルを圧倒したような戦いを、ペルー相手にもできればいいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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