「我々も被害者になりうる」蔚山現代のホン・ミョンボ監督が“人種差別騒動”を受けて謝罪。巻き込まれたタイ代表DFも声明

2023年06月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

10試合以上の出場停止となる可能性も

絶好調のチームを突如襲ったスキャンダル。ホン・ミョンボ監督も頭が痛いところだ。(C)Getty Images

 韓国サッカー界が誇る国民的英雄も謝罪に追われた。

 騒動の発端となったのは現地6月10日、ひとつのSNS投稿だった。蔚山現代が本拠地で済州ユナイテッドと対戦して5―1の快勝を収めた夜、蔚山のDFイ・ミョンジェがインスタグラムに自身の写真をアップロード。やや浅黒い肌を持つ彼に対して、チームメイトたちがあれこれとコメントを寄せたわけだが、これが人種差別に当たるのではないかと批判されたのだ。

 MFイ・ギュソンが「ASEAN(東南アジア)枠は心強いね」と書けば、MFパク・ヨンウはかつて全北現代に所属していたタイ代表のDFササラック・ハイプラコーン(現ブリーラム・ユナイテッド)に喩え、「ササラックのフォームが凄い」と揶揄。さらに蔚山のチームスタッフも加わって「ササラック、スーパータックル」などと悪ふざけを続けたのである。

 ファンから「人種差別じゃないか」と指摘されたイ・ミョンジェはすぐさま投稿を削除した。翌日になってイ・ギュソン、パク・ヨンウがそれぞれのSNSに謝罪文を掲載。蔚山もクラブとして謝罪の声明を発し、経緯を精査したうえで懲罰委員会を開くとした。

 イ・ミョンジェ、イ・ギュソン、パク・ヨンウはいずれも蔚山の副主将であり、イ・ギュソンとパク・ヨンウは6月シリーズを戦う韓国代表メンバーにも名を連ねる実力者だ。現地火曜日、チームを率いるホン・ミョンボ監督も次のように謝罪文をリリースした。

「チームを管理する監督として、今回の騒動について頭を下げ、謝罪の言葉を申し上げる。実名が取り上げられた選手と家族、その選手の現在の所属チームであるタイのブリーラム・ユナイテッドのファン、タイのサッカーファンにもお詫びしたい。彼はKリーグの全北現代でもプレーしたが、全北のファンにも申し訳なく思っている」

 そのうえでホン監督は「いまや人種差別はサッカーに限らず、世界的な問題だ。撲滅すべき問題である一方で、我々はいつでも被害者になる可能性もあると思う」と指摘。「今回の一件を受けて、もう一度プロ選手の責任感と人種差別に対する重い認識を刻みたい。再発防止を約束し、人種差別に反対するより良いクラブとなれるように成長したい」と続けた。
 
 全北が公式SNSで「NO ROOM FOR RACISM(人種差別に場所はない)」とのメッセージを発すると、これにリツイートで反応していたササラック。ホン監督の声明と時を同じくして自身のSNSを更新し、「これまでもたくさんの非難があったけれど、僕はその人たちのことは気にしていなかった。僕を愛し、待っていてくれる人がたくさんいるから」と記し、「僕はうまくやってきた自分自身が誇らしく感じている。僕にとってはこれで十分だ」と想いを伝えている。

 韓国プロサッカー連盟は蔚山からの経緯報告を待ち、処分が必要か否かを審査する予定だ。同連盟は人種差別的な振る舞いに対して明確な規定を設けており、選手には10試合以上の出場停止処分と、1000万ウォン(約100万円)以上の制裁金などが科される可能性があるという。

 2連覇に向けて、目下Kリーグで首位を独走する蔚山だが、主力選手たちが軒並み出場停止となれば、かなり厳しいシチュエーションに置かれる。軽率な言動によって、小さくない代償を払わされそうな気配だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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