移籍専門記者による強化部門解説|ユベントス編「マロッタとパラティチに対する高い評価は揺るがない」

2015年12月31日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

トップチーム登録以外の保有選手を専任で扱うSD職も新設。

CEO兼GDとして辣腕を振るうマロッタ。ユーベ復権に多大なる貢献を果たしている。(C)Getty Images

 ジュゼッペ・マロッタGDとその片腕であるファビオ・パラティチSDが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の意向を聞きながら強化プランを策定し、主にパラティチが移籍交渉にあたる。
 
 2015年夏はカルロス・テベス、アンドレア・ピルロ、アルトゥーロ・ビダルという主力3人が去り、ポール・ポグバにもオファーが相次ぐという難しい状況が続いた。さらに最優先課題だったトップ下の補強で、メインターゲットだったユリアン・ドラクスラー(シャルケ→ヴォルフスブルク)を土壇場で取り逃し、エルナネスで妥協するという不本意な結末となった。
 
 とはいえ、これはアンドレア・アニェッリ会長がプライベートでトラブルを抱え、意思決定が遅れるという想定外の出来事があったためでもあった。
 
 マロッタの理に適った強化戦略、パラティチの的確な選手評価眼、さらにチーフスカウトのハビエル・リバルタも優秀で、この3人を要とする強化部門に対する高い評価は揺るがない。
 
 今シーズンは、育成部門の若手から他のクラブに貸し出しているレンタル組まで、トップチーム登録以外の保有選手を専任で扱うSD職を新設。組織体制をさらに強化している。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2015.11.19号より加筆・修正
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。父は70~90年代にナポリ、ジェノア、レッチェなどで監督を歴任し、現在はTVコメンテーターのジャンニ・ディ・マルツィオ。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。父を通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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