【リーガ・エスパニョーラ】前半戦総括「“2強&アトレティコ”がリードするお馴染みの展開に」

2015年12月27日 下村正幸

最大のサプライズは貧弱な戦力ながら10位につけるエイバルだ。

王者バルサは数々の逆風に遭いながら、しっかりと結果を残して首位に立つ。メッシ(右)の故障離脱中はネイマール(中央)が一皮むけるなど、まさに怪我の功名も。(C)Rafa HUERTA

 夏の補強を禁じられたばかりか、強豪とのアウェーゲームが前半戦に固まる日程的な不利も重なり、王者バルセロナは開幕から数か月は苦戦が続くと見られていた。
 
 実際、序盤戦は攻守のバランスが崩れて失点が急増。メッシを含めた主力の相次ぐ故障も痛手となった。にもかかわらず、攻守の軸たる選手が奮起し、首位を快走。ネイマールとスアレスがゴールを量産して前線を牽引すれば、最終ラインはピケを中心に結束し、安定感を増していった。
 
 状況に応じて奇策を巡らすL・エンリケ監督の柔軟な采配も特筆に値する。ピースが欠ければ若手を積極的に抜擢する、あるいは巧みに控え組の成長を促すなどして穴を補い、快進撃を演出してみせたのだ。
 
 一方のR・マドリーは、ベニテス新監督がチームを掌握できなかったばかりか、その影響からかエースのC・ロナウドが本来の得点力を発揮できず……。バルサ以上に怪我人が続出するというエクスキューズもあるにはあったが、あらゆる面でその宿敵の後塵を拝したのは事実。まだ逆転可能な位置につけているとはいえ、残した印象はネガティブだった。
 
 マドリーの失速に乗じて2位に躍り出たのがアトレティコ。グリエーズマンにおんぶに抱っこの攻撃には改善の余地を残すものの、優勝した一昨シーズンを想起させる堅守を武器に、粘り強く勝点を積み重ねた。
 
 躍進を期待されながら中位に低迷するバレンシアやセビージャと比較しても、CLを戦いながら安定してリーガで結果を残している総合力の高さは、評価されてしかるべきだ。
 
 結局、「2強&アトレティコ」がリードする例年の展開から大きな変化は見られなかった。大健闘を見せたセルタとビジャレアルにしても選手層の薄さは否めず、今後トップ3に食い込むほどのチーム力はないだろう。
 
 最大の驚きは、今夏に乾が加入したエイバルの躍進。戦力的にはリーガ最貧ながら、チームスピリットを前面に押し出して進撃を続け、堂々10位につけている。
 
文:下村正幸
※『ワールドサッカーダイジェスト』2016.01.07号より加筆・修正
 
【2015-16 リーガ・エスパニョーラ順位表(16節終了現在)】
1位 バルセロナ(勝点35/36得点・15失点)※1試合未消化
2位 A・マドリー(勝点35/22得点・8失点)
3位 R・マドリー(勝点33/42得点・15失点)
4位 セルタ(勝点31/28得点・22失点)
5位 ビジャレアル(勝点30/21得点・15失点)
6位 デポルティボ(勝点26/25得点・16失点)
7位 A・ビルバオ(勝点24/24得点・18失点)
8位 セビージャ(勝点23/21得点・19失点)
9位 バレンシア(勝点22/21得点・14失点)
10位 エイバル(勝点21/19得点・19失点)
11位 ベティス(勝点20/13得点・19失点)
12位 エスパニョール(勝点20/16得点・26失点)
13位 マラガ(勝点17/10得点・14失点)
14位 R・ソシエダ(勝点16/17得点・22失点)
15位 ヘタフェ(勝点16/18得点・26失点)
16位 スポルティング・ヒホン(勝点15/15得点・23失点)
17位 グラナダ(勝点14/17得点・27失点)
18位 ラージョ・バジェカーノ(勝点14/18得点・37失点)
19位 ラス・パルマス(勝点13/12得点・23失点)
20位 レバンテ(勝点11/12得点・29失点)
※CL出場権獲得=1~4位、EL出場権獲得=5~6位(+コパ・デル・レイ優勝チーム)、2部降格=18~20位
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