「舌を飲み込ませるぞ」CLダービーを制して狂喜のインテルDF、嘲笑チャントでミランのウルトラスから脅迫→謝罪「軽率なことを…」

2023年05月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

ミラノ検察が捜査を開始

ミランに勝利した後、ピッチでマイクを握ったディマルコ。(C)Getty Images

 インテルのフェデリコ・ディマルコにとって、チャンピオンズリーグ準決勝のミラノダービーは特別な舞台だった。地元出身で20年前の同じ舞台での対戦はファンとしてスタンドで観戦し、敗退に落胆。インテルユースで育ったイタリア代表DFは、胸に秘めるものがあったに違いない。

 だからこそ、インテルが2戦合計3-0で決勝進出を決めると、ディマルコは喜びを爆発させた。マイクを手に取り、スタジアムにミランを嘲笑するチャントを歌うように煽ったのだ。だがそのひとつが、ミランウルトラスの怒りを買った。

 複数の地元メディアによると、ディマルコの自宅前に横断幕が掲げられた。書かれていたのは「プレーすることを考えろ。じゃないと舌を飲み込ませるぞ」の文言。ミランウルトラスによるものと思われる。

 これを受け、ディマルコはSNSで「軽率なことをしてしまった。気分を害したミランのサポーター全員に謝りたい」と、謝罪の意を表明。これにクルバ・スッド(ミランウルトラス)は声明で応じ、選手の謝罪を受け入れた。

「喜んで騒ぎたい気持ちは分かる。祝ったりからかったりするのを禁止するつもりは夢にもない。だが、ミラノのような街には、どちら側からも決して越えてはいけない限界がある」

「ミラノの両クルバは40年前から好戦的にならない協定を続けることに尽力してきた。イタリアでは唯一のケースであり、それによって我々は平静かつ誠実、敬意の中でダービーを行える」

「選手やクラブに向けたからかいのチャントや横断幕と、相手がいる中でクルヴァ全体をあざ笑うチャントは、まったくの別物だ(そのチャントは数か月前からクルバ・ノルドも歌っていない)」

「我々はディマルコ選手の謝罪を評価する。アドレナリンや幸福感からひどい間違いをしてしまうこともあるのは分かっている。今後はどちら側も似たような光景を見ることがないように願う」
 
 さらに、クルバ・ノルド(インテルウルトラス)の代表もSNSでの動画で、ディマルコを擁護しつつ、「根本的な過ちを犯した」と指摘。選手が扇動したチャントは「インテルとミランの普通のからかいを少し越えた」ものだと説明した。

 クルバ・ノルドの代表は、ディマルコが歌ったチャントは、両クルバの話し合いでしばらく前に廃止したもので、ディマルコは知らなかったと明かしている。

「ライバルチームを笑ったり、冗談を言うことはできる。だが、ミランの選手が我々のクルバをあざ笑ったら、我々も腹を立てただろう。ミランのクルバが怒り、気分を害したのも当然と思う。少し度を過ぎてしまったということだ」

「クラブに関するあざけりは正当だ。『インテリスタは…』『ミラニスタは…』とね。だが、クルバをあざ笑うとなれば、デリケートなバランスを傷つけるリスクがある」

 しかし、『Gazzetta dello Sport』は、ミラノ検察がディマルコに対する横断幕が脅迫的として捜査を開始したと報じている。

 実際、横断幕の内容は糾弾されるべきものだろう。一方で、選手が謝罪し、両クラブのウルトラスが同じ見解を示しているだけに、騒動は落着したと言えるかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】宿敵ミラン撃破後に嘲笑チャントを歌うインテルのイタリア代表DF

 

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