【クラブW杯|取材記者の視点】MSNを軸とする「いつものバルサ」は、やはり規格外に強かった

2015年12月20日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

ポゼッションを軸にカウンターを織り交ぜる超ハイブリッドなサッカー。

揃い踏みした決勝では、それぞれが存在感を発揮した“世界最強のMSN”。メッシが先制点、スアレスが2得点、ネイマールが2アシストをマークした。(C) SOCCER DIGEST

 バルセロナは準決勝を欠場したネイマールとメッシがスタメンに返り咲いて自慢の"MSN"が揃い踏みするなど、ベストメンバーでリーベルとの決勝に臨んできた。
 
 結果、準決勝と同じ3-0の大勝を飾ったが、内容面には大きな差異があった。この決勝のチームは、いわば"いつものバルサ"だった。
 
 その最大のポイントは、もちろんMSNの存在だ。3人のうち2人を欠いた準決勝は、グアルディオラ時代を彷彿とさせる"ポゼッション絶対主義"に舵を切らざるを得なかったが、この日は昨夏に就任したルイス・エンリケ監督が導入した"縦に速いスタイル"が基本。独力で絶対的な違いを作れるメッシ、スアレス、ネイマールに少しでも早くボールを預ける普段通りのサッカーを展開し、面白いように敵陣を崩した。
 
 36分の先制点は、メッシが主戦場の右サイドから中央にポジションを移し、ゲームメイクを担うお馴染みの流れから生まれた。この10番の中央でのボールキープから、ダニエウ・アウベス→ネイマールと繋ぎ、最後はペナルティーエリア内に飛び込んだメッシが押し込んだのだ。
 
 49分の2点目は、まさに"エンリケ・バルサ"の代名詞であるカウンターから。自陣でボールカットしたブスケッツから縦のスルーパスを受けたスアレスが、GKとの1対1を冷静に制した。このシーンではメッシとネイマールも裏に抜ける動きを見せており、いずれに繋がってもゴールが生まれていた可能性が高い。
 
 3点目はMSNの圧倒的な個人能力から生まれた。まずメッシが、ペナルティーエリア手前でハードマークに耐えながら左に展開。これを受けたネイマールが斜めのクロスを上げ、走り込んだスアレスが押し込んだのだ。
 
 リーベルが安全策で引くのではなく、前線から果敢なプレスを仕掛けてきたため、速攻を仕掛けるためのスペースが生まれたのも、バルサにとってはプラスに働いた。
 
 6本の枠内シュートを食らうなど、スコアからイメージするほど決して楽な試合ではなく、77分と83分の守護神ブラーボのビッグセーブがなければ2試合連続のクリーンシートはありえなかった。
 
 それでも、68パーセントのボール支配率が示す通り伝統のポゼッションをベースにしながら、MSNを最大限に活かせるカウンターを織り交ぜる超ハイブリッドなサッカーを展開し、前評判通りきっちりと世界の頂点に駆け上がった。"いつものバルサ"は、やはり規格外に強かった――。陳腐な言い方になるが、そう結論付けざるをえないだろう。
 
「今日の我々だったら、どこと戦っても圧倒していただろう」
 
 試合後、L・エンリケ監督もそう誇らしげに語った。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

【PHOTOハイライト】リーベル 0-3 バルセロナ
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