『キャプテン翼』ゆかりの地、葛飾区の挑戦② リアル“南葛SC”が目指すのは葛飾からのJ参入!~南葛SC~

2015年12月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「地元にJを目指すチームが欲しいと思っていた」(高橋陽一先生)

来シーズンは東京都2部に昇格する南葛SC。ユニホームの左胸にはエンブレムが入っているものの、モチーフは原作と同様白地に青ラインだ。前列中央右が及川理事長で、左が向笠総監督。 写真提供:葛飾区

 東京都葛飾区に、「南葛SC」というクラブチームがあるのをご存知だろうか。そう、大人気サッカーマンガ『キャプテン翼』の中で、主人公・大空翼が所属した少年サッカーチームの名称だ。『キャプテン翼』ゆかりの地、葛飾区をホームタウンとし、目標は2020年のJ参入だ。サッカーによる街の活性化をもくろむ葛飾区も全面的にバックアップするこのクラブについて取材した。

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 現実の南葛SCは社会人のトップチームの他、女子、フットサル、ジュニアユースチームを擁する総合サッカークラブだ。トップは2015シーズン、東京都社会人リーグ3部を勝ち抜き、来季は2部で戦うことが決まっている。チームを運営するNPO法人「国際サッカー普及育成会」の及川達也理事長によれば、現在のチーム名になる前の段階から、葛飾区からJリーグクラブを出そうということで活動してきたという。
 
 転機は2013年に訪れる。キャプテン翼の原作者で、現在はクラブの後援会会長でもある高橋陽一先生は、次のように語っている。
「地元にJを目指すチーム、応援できるチームが欲しいなあとは、ずっと漠然と思っていて、この話(南葛SCの前身チームからの応援要請)が来た時には自分から南葛SCにしませんか? と提案しました。漫画の中のあの少年チームが発展して、TOPチーム(女子含み)を持つようになったイメージです」
 
 『キャプテン翼』は静岡県にある架空の「南葛市」が舞台となったマンガだ。実際にそのような地名はないものの、高橋先生自身が住んでいた葛飾区にある地名や固有名詞を引用してその舞台を作り上げたことから、「キャプテン翼ゆかりの地、葛飾区」というキャッチフレーズも生まれてきた。そんな葛飾区のサッカークラブなら、「南葛SC」のクラブ名も当然のネーミングだ。
 
 高橋先生からの願ってもない申し出もあり、もちろんクラブ関係者の努力や出版社の協力もあり、2013年、クラブは南葛SCとして再スタートを切った。同時に区内のサッカー強豪校・修德高校の監督、向笠実氏を総監督に迎え、その陣容を整えた。それでも、東京都3部リーグから1年では抜け出せず、結局2シーズンを費やしてしまった。
 
「2020年のJリーグ参入という目標までに、もう1つも足踏みできない。葛飾区は、区の観光資源としてキャプテン翼と南葛SCをフルにバックアップしてくれていますから、そこに向けて、自分たちもしっかりステップアップしていかなければならない」と、及川理事長。「Jリーグに入ったら、その時にはスタジアムもという区長との約束がありますからね」

 高橋先生も地元のスタジアムを熱望する1人だ。
「(南葛SCに必要なものは)一番はやはり地元にサッカー専用スタジアムができることですね。それができれば自然と選手やスタッフ、サッカーにおける素晴らしい人材も集まってくるのではと思っています」

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