【クラブW杯】浅野拓磨が広島の主軸となるために必要なもの――。リーベル戦で見えたヒントは「ボールを呼び込む力」

2015年12月17日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「チームとしては世界とも戦えたけど、個人としてはなにもできなかった」(浅野)

浅野はボールを引き出せず、スピードやドリブル突破といった特長を出せなかったことを悔やんだ。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 12月16日、南米王者・リーベルとのクラブワールドカップ準決勝は、チームとして世界と戦える手応えを得た一方で、浅野拓磨は課題が残るゲームだったと振り返る。

【PHOTOハイライト】広島 0-1 リーベル

「個人としてはなにもできなかった」
 
 厳しい自己評価だが、実際、66分に皆川佑介に代わって出場以降、目立ったプレーは終了間際のヘディングシュートだけ。それも枠を捉えられず、持ち前のスピードを活かした突破は影を潜めたまま終わったのだから無理もない。
 
「押し込まれる時間帯が多かったですけど、広島のサッカーはできていたし、決定機も作れていたと思います。ただ……、相手は少ないチャンスをモノにして勝っているわけで、チャンスが多い時に決め切らないと、厳しい戦いになる。身体の強さであったり、ボールを収める巧さは、さすがだなと感じました」
 
 浅野はベンチから戦況を見守るなかで、サイドを中心にスペースができていることに気付いていた。若きスピードスターにとって願ってもない状況だったものの、「スペースを突いて行こうと思った」という狙いとは裏腹に、ゴールに向かうようなボールはほとんど入って来なかった。「ボールさえ出てくれば……」。そんな想いに駆られても不思議はないが、浅野は自分の実力不足だとすべてを受け止める。
 
「パスが出て来なかったと言えば出て来なかったですけど、そこを"呼び込む力"が僕になかったのかなと。ピッチに入ってやりにくさを感じたし、自分の特長を活かせなかった。相手に守られているなかでも、自分から動き出して、どんどん味方からボールが出て来るような選手にならないといけない。このチームの中心となってやるには、そこがまだ足りない部分だと思います」
 
 それでも、20日に3位決定戦が控えるだけに、「まだ戦いが終わったわけじゃない」とすでに視線は次に向けられている。世界と戦う貴重な機会、自分の成長のためには1分1秒でも無駄にはできないという想いがある。
 
「クラブワールドカップの経験は、自分が目指しているオリンピックやA代表に絶対に活きてくる。だからこそ、今この大会でピッチに立った時に、自分の持っているものすべてを出し尽くさないといけない。なにができて、なにができなかったのかをしっかり把握しておくべきだし、味方とコミュニケーションを取りながら、もっともっとレベルアップしないといけないと思います」
 
 悔しさをバネに、広島の背番号29はひたすら前に突き進む。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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