「無理はしたけど、無謀ではなかった」酒井宏樹が明かすACL制覇の裏側。決定機は「あれが入らなくて優勝したんで(笑)」

2023年05月07日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

「MVPのオマケつきで。ちょっと怖さすらありますけど」

主将としてACL制覇に大きく貢献した酒井。大会MVPに輝いた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 5月6日に開催されたアジア・チャンピオンズリーグ決勝の第2レグで、浦和レッズはサウジアラビア王者のアル・ヒラルと埼玉スタジアム2002で対戦。マリウス・ホイブラーテンの折り返しから生まれた相手のオウンゴールを守り切り、1-0で接戦を制した結果、第1レグの1-1と合わせ2-1で、クラブ史上3度目のアジア制覇を果たした。

 右SBで先発した酒井宏樹は、惜しくも得点には繋がらなかったものの、絶妙な突破から鋭いクロスを送り込み、興梠慎三の決定機を演出するなど、攻撃面でも抜群にインパクトを発揮。この日も圧倒的な存在感を見せつけ、見事に大会MVPに輝いた。

 だが一方、満身創痍でギリギリの状態だった。後半には手を足に当て、肩で息をするようなシーンもあったが、フル出場し、優勝を告げる笛はピッチの上で聞いた。

 試合後の取材対応で33歳のキャプテンは、「本当に…なんですかね、言葉にあんまり表せないですね。それくらい目標にしていたものが現実になっている状況なので、しかもMVPのオマケつきで。ちょっと怖さすらありますけど」と、個人賞付きの戴冠を噛みしめると、続けて自身のコンディションについて、こう明かした。

「無理はしましたけど、無謀ではなかった。本当にチームメイトには助けられました。自分の分まで働いてくれたので、そこは感謝したいですし、ずっと付きっきりでやってくれたトレーナーさんたちにも感謝したい」
【動画】興梠は「ミートし過ぎた」振り返る、演出酒井の決定機
 また、自身がお膳立てした決定機にも言及。エースへの絶大な信頼を明かせば、関係の良さを窺えるジョークも炸裂させた。

「もっと膝周りに合わせるつもりだったんですけど、浮いちゃいました。慎三さんがああやってマークを剥がしてくれるのは分かってましたし、完璧だったんですけど……結果あれが入らなくて優勝したんで(笑)。慎三さんには申し訳ないですけど(笑)」

 セレモニーでは、「ACLは2人でリレーというか。自分は最後のおいしいとこだけ持ってったので、ほとんど周作君の繋げてきた力」と、今大会の大半を戦った昨季までキャプテンを務めた西川周作と共に優勝トロフィーを掲げた。プレー、言動、物腰の柔らかさ、ユーモア、どこを切り取っても酒井はキャプテンシーの塊のような男だ。

 頼れるレッズのキャプテンは最後に、アジア王者として「しっかり責任あるプレーをしたい」と、今後に向けて力強い言葉を残した。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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