最下位チームにホームで引き分け…ミランは再び下降線を辿るのか!? ――ミラン 1-1 ヴェローナ

2015年12月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

多くの問題を抱えるミランだが、それでも本田の居場所は…。

 現地時間12月13日、セリエA第16節でミランは、ヴェローナと1-1の引き分け。前節カルピ戦に続いて、下位チーム相手に白星を獲り損なった。
 
 ここまで15戦未勝利で最下位に沈む相手をホームに迎えたとあって、当然ながらミランにとって勝利は義務でもあったが、序盤は攻撃の組み立てにおいてアウェーチームの方が上回っていた。
 
 ヴェローナは、FWトーニの位置を他の全選手が意識しながら、愚直なまでにこの大ベテランのワントップを活かそうとボールを集める。ミランは、常に彼をマークしてはいたが、それでも迷いなく放り込まれるパスに何度が肝を冷やされた。
 
 とはいえ、ミランは守備においては無理をせずに迷わずクリアすることで、実際に危険な場面はほとんどなかった。相手にCKを多く与えたものの、ミスで変なボールの奪われ方をするよりははるかに安全だった。換言すれば、思い切ってCKに逃げられるのは、このところ守備が向上したからでもあるだろう。
 
 その一方で、攻撃時におけるミランは、中盤のモントリーボやデヨングが繋ぎ役として機能しないため、なかなか相手ゴール前にボールを運ぶことができずにいた。
 
 チャンスに繋がるのは、ボナベントゥーラやニアングが良いかたちでボールを受けて前を向いた時だけ。特に前者はドリブル、パスなど全てのプレーの質が高く、バッカ、L・アドリアーノを活かすだけでなく、自らフィニッシュにも絡んだ。
 
 両チームともに決定的なチャンスが少なかったこの試合、シュートがゴールマウスを捉えたのは29分、ボナベントゥーラがバッカとのパス交換で抜け出してGKとの1対1の場面(シュートはブロックされた)を迎えたのが最初であり、前半はこれだけに終わった。
 
 後半もボールポゼッションではミランが上回るも、ほぼ互角の内容で試合は進んだが、52分、ペナルティエリア手前でニアングが横パスを送り、これをL・アドリアーノが手前のバッカにダイレクトでスルーパス。バッカは右足でゴールネットを揺らし、ミランがついにリードを奪った。
 
 ヴェローナの攻撃を抑えていたミランにとっては、大きく勝点3に近づく1点のはずだったが、先制からわずか5分後、一転して窮地に陥ることとなる。
 
 右サイドからのクロスをトーニが頭で落としたところへ、グレコが後ろから走り込むと、追走したデヨングが押し倒してしまったのだ。ペナルティエリア内でのこのプレーは、ヴェローナにPKを与えただけでなく、デヨングを一発退場に追い込むこととなった。
 
 トーニにPKを決められて同点に追いつかれ、さらに数的不利まで抱え込んだミランは、攻撃の人数を減らさざるを得ず、しばらくは効果のない攻撃やパスミスを繰り返してホームのサポーターからブーイングを浴びる。
 
 しかし、ヴェローナの運動量が減り、攻撃の意識も弱まった(引き分け狙い)ことから、ミランは攻勢に立ち、じわりじわりとゴールに迫る。チェルチが交代で右サイドに入ると、より攻撃は活性化したものの、いかんせん残り時間は短すぎた。
 
 ともに勝利が欲しかった一戦だっただけに、勝点2を逃したと言えるが、ヴェローナにとってはある程度納得のいく結果だっただろう。対してミランは……試合後のサン・シーロに轟いたブーイングの大きさが、この結果に対するミラニスタの評価を表わしていた。
 
 本田はカルピ戦に続いて出場はなし。多くの問題を抱えるミランではあるが、現在のチームの中盤、前線ともに、「もし本田がここでプレーしたならば――」とポジティブに仮定できるようなポジションを見つけることは難しい……。
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