【セルジオ越後】Jで圧倒的でない浦和が、ACL決勝で“格上”に勝てるのか。日本代表のようなジャイアントキリングに期待だ

2023年04月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

アル・ヒラルはJならば有力な優勝候補になるレベルのチーム

格上に勝てるのも、サッカーの魅力、面白さだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 浦和が日本時間4月30日と5月6日に、ACLの決勝でサウジアラビアのアル・ヒラルと対戦する。日本サッカー界を盛り上げるためにも、ぜひとも勝ってほしい試合だ。

 チーム力としては、相手が"格上"というのが率直な印象だ。アル・ヒラルは、カタール・ワールドカップのグループステージでアルゼンチンに逆転勝ちしたサウジアラビア代表の選手も多数揃えている。

 助っ人も強力だし、ACL準決勝では大差で勝ってきている。浦和が終了間際のユンカー(現名古屋)のゴールで追いつきPK戦で勝ち上がったのとは対照的で、アル・ヒラルは仮にJリーグに参戦すれば有力な優勝候補になるレベルのチームだろう。

 さらに、最近では、メッシに巨額の報酬でオファーを出したとも報じられている。サウジアラビアは、クリスティアーノ・ロナウドが国内のアル・ナスルに加入したし、ワールドカップ招致にも名乗りを挙げる準備をしているという報道もある。国全体からも、勢いを感じる。

 浦和にとっては、厳しい戦いが待っている。準決勝からシーズンをまたぎ、スコルジャ新監督を迎えた。ユンカーが期限付き移籍するなど、選手も少し変わっているなかで、リーグ戦では3月から7戦無敗で4位と好位置につけている。

 ただ、直近の試合の出来が素晴らしいとは言えない。直近の札幌戦では4-1で勝利したが、前半に相手ディフェンダーが退場して10人になったのに、終盤まで接戦だった。また、調子の良くない川崎には1-1で引き分けている。好成績だけど、内容的にはJリーグで圧倒的ではない。
 
 7戦無敗だから勝てる、とはならないと思う。ましてや、過去を見ても、Jリーグで優勝したチームがACLではあっさりと負けてしまうケースもよくある。

 浦和としては、特に第1レグのアウェーでは苦しい戦いになると予想される。Jリーグでは守備的な戦いをしていないなかで、いかに守るかがポイントになる。

 もちろん勝つのが理想だけど、ホームでの第2レグで優勝を決めればいいという意味では、引き分けでも十分だし、1点差負けでも許容範囲内。そういった計算も必要になる。

 楽な戦いにはならないだろうけど、格上相手でも勝てるのもサッカーの魅力、面白さだ。カタール・ワールドカップでは森保ジャパンがドイツとスペインを下した。もちろん戦い方は違うけど、浦和もジャイアントキリングを狙えるはずだ。

 勝てば大きなニュースになって、日本サッカー界にとってもプラスになる。また、日本代表の3月シリーズでは、浦和からは1人も選ばれなかった。選手には、今回の試合で活躍して代表入りをアピールするくらいの気持ちで臨んで、優勝を勝ち取ってほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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