“ポスト”イニエスタではない。神戸MF井出遥也が昨季王者を相手に放った輝き。主役になるために必要なのは「結果」

2023年04月23日 白井邦彦

世界的なスターへの憧れ

先発起用が続く井出。攻守両面でチームを下支えする。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第9節]神戸2-3横浜/4月22日/ノエビアスタジアム神戸

 首位・神戸と前年王者・横浜という注目カードは、激しい撃ち合いの末に3-2で横浜に軍配が上がった。
【PHOTO】神戸の出場14選手&監督の採点・寸評。1G・1Aの汰木は攻撃面で輝き。イニエスタはあまり見せ場を作れず
 先手を打ったのは神戸だった。19分、本多勇喜のロングフィードに対して横浜のDF山根陸とGK一森純の連係ミスが発生し、無人のゴールへと向かうルーズボールを汰木康也が詰めて先制点は生まれた。

 今季の神戸は先制点を奪うと必ず勝利しており、そのジンクスを裏付けるように、28分にエース大迫勇也が汰木からのクロスを頭で合わせて追加点を奪った。

 だが、ここから横浜が反撃に出る。33分にアンデルソン ロペス、45分+2分に渡辺皓太が決めて前半のうちに試合を振り出しに戻した。いずれもアシストは水沼宏太だった。

 そして後半の82分に再びA・ロペスが決めて王者が逆転に成功し、そのまま激戦は幕を閉じた。
 
 これが今節のハイライトである。得点経過を中心に綴ると、多かれ少なかれこういう記事になるが、その陰には数字には残らない好プレーがあり、名前の挙がらない選手たちがいる。神戸の井出遥也も、今節はそういう選手の1人だった。

 井出はJ2の東京Vから今季加入のMFだ。J1の舞台は6年ぶり。神戸に来るまでJ1でのプレーは通算9試合のみ。シーズン開幕前の2月には「昔からずっとアンドレス(・イニエスタ)のプレーを見続けてきた」と、世界的なスターへの憧れを口にしている。

 つまり、J1でイニエスタのポスト(代役)が務まるかどうかが、彼の評価指標だった。

 神戸デビューは開幕節の福岡戦。先発で出場し、57分までプレーしている。ポジションは4-1-2-3の左インサイドハーフ。そう、イニエスタの定位置である。だが、周りとの連係も今ひとつ。以降1か月間はリーグ戦での出番がなかった。

 先発に復帰したのは、3月18日の5節・鳥栖戦。そこから今節の横浜戦まで5試合連続でスタメンを張っている。イニエスタが復帰したあとも、先発で起用されていることを考えると、監督からの信頼も厚いと思われる。
 

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