【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のバルサを振り返る Vol.13~2003-04シーズン ~

2015年12月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

前半は苦しむも、冬のダービッツ到来によって急浮上を遂げる。

救世主となったダービッツ。翌シーズンの残留はならなかったが、彼がその後のバルサ快進撃の起爆剤となったと言ってもいいだろう。 (C) Getty Images

 クラブ史上最悪とも言えるシーズンを送った後、新会長のジョアン・ラポルタは、フランク・ライカールトを指揮官に迎え、チームの立て直しに取り掛かった。
 
 ジョアン・ガスパール政権時に膨らんだ多額の負債のため、戦力獲得のために好きなだけ金を使うことは許されなかったものの、ロナウジーニョやジョバンニ・ファン・ブロンクホルストといった的確な補強を行ない、開幕前のテストマッチでも好成績を収めたこともあって、チームの雰囲気は良くなっていった。
 
 手探り状態でシーズンに臨んだライカールトのバルサは、試合ごとにスタメンが変わっていったが、ロナウジーニョは攻撃の中心としての地位を早くも確立し、彼が活躍すればチームは白星を挙げることができた。
 
 しかし、それはひとりの選手に頼るという芳しくない状態ということであり、実際、ロナウジーニョが負傷欠場した12節からの4試合で、バルサは1分け3敗という散々な結果に……。ライカールトはチームのバランスを取るのに苦しみ、周囲からは批判的な声も徐々に聞こえるようになった。
 
 18節には12位にまで順位を下げるなど、どん底にいたバルサ。この状況を劇的に変えたのが、2004年1月にユベントスからのレンタルで加入したエドガー・ダービッツだ。彼の無尽蔵の運動量と的確な状況判断や危機察知能力により、チームに安定感がもたらされた。
 
 これにより、中盤ではシャビが持ち前のパスセンスを発揮できるようになり、前線ではロナウジーニョ、ハビエル・サビオラ、ルイス・ガルシアが存分に暴れ回った。
 
 21節からは9連勝を飾るなど、前半戦とは全く異なるチームとなったバルサ。首位バレンシアには勝点で5及ばず、ロナウジーニョは「もう少し反撃が早ければ……」と悔やんだものの、チーム改革1年目のバルサにとって、内容を伴ってのリーガ2位は上々の成績と言えた。
 
 長い暗黒のトンネルを歩き続け、ようやく出口に辿りついたバルサ。選手、スタッフ、クラブ関係者、そしてバルセロニスタは久々に、満足感と希望を持ってシーズンを終えることができたのである。
◎2003-04シーズン成績
リーガ:2位(21勝9分け8敗・63得点39失点)
国王杯:準々決勝敗退(対サラゴサ)
チャンピオンズ・リーグ:ラウンド16敗退(対セルティック)
 
チーム内得点ランキング(リーガ):ロナウジーニョ(15点)、サビオラ(14点)、クライファート(8点)、コクー(5点)、シャビ(4点)、L・ガルシア(4点)、L・エンリケ(3点)、オーフェルマルス(1点)、カレスマ(1点)、イニエスタ(1点)、モッタ(1点)、ガブリ(1点)、ダービッツ(1点)、ジェラール(1点)、マルケス(1点)、ファン・ブロンクホルスト(1点)
 
◎主なトランスファー
◇IN

GK ルストゥ(←フェネルバフチェ)
GK ジョルケラ(←ユースから昇格)
DF マルケス(←モナコ)
DF ファン・ブロンクホルスト(←アーセナル)
MF カレスマ(←スポルティング)
FW ロナウジーニョ(←パリ・サンジェルマン)
FW L・ガルシア(←アトレティコ・マドリー)

MF ダービッツ(←ユベントス)
◇OUT

DF F・デブール(→ガラタサライ)
DF ソリン(→クルゼイロ)
DF クリスタンバル(→マルセイユ)
MF リケルメ(→ビジャレアル)
MF メンディエタ(→ラツィオ)
MF ロッケンバック(→スポルティング)

GK ボナーノ(→ムルシア)
DF P・アンデション(→マルメ)
DF F・ナバーロ(→アルバセーテ)
FW ダニ(→サラゴサ)
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