ホーム・等々力で勝利が遠い川崎。指揮官、脇坂泰斗、山根視来らが語る打開への道筋

2023年04月06日 本田健介(サッカーダイジェスト)

浦和戦はポジティブな要素も多かったが…

チャンスは作ったが決め切れず。ルヴァンカップは3戦未勝利となった。(C)SOCCER DIGEST

[ルヴァン杯・第3節] 川崎0-0浦和/4月5日/等々力陸上競技場

 またもゴールが、勝利が遠かった。

 ルヴァンカップのグループステージ第3戦としてホーム・等々力に浦和を迎えた川崎は、チャンスを作りながらも決め手を欠き、スコアレスで引き分けた。

 開幕からの公式戦9試合でいまだにホームでの勝利がなく、ホーム計5試合で2ゴール(3試合連続で無得点)と、どこか元気がない(アウェーを含めた公式戦の今季の結果は2勝4分3敗)。

 もっとも浦和戦は決してネガティブな内容でもなかった。チームとして意思統一した相手ペナルティエリアの脇を突く形を何度も作り、チャンスを迎えていたのだ。

 さらに鬼木達監督が先発に抜擢した高卒2年目のアタッカー・永長鷹虎、昇格1年目(昨季すでにプロ契約)のCB高井幸大も堂々のプレーを見せて周囲を活性化。ポジティブな要素もピッチに転がっていたと言えるだろう。

 ただ、惜しいかな、結果がついてこない。試合2日前には、ホームでの勝利に強い意気込みを語っていた鬼木監督に話を振れば、選手たちにはどこか気負いがあったのかもしれないとの答えも返ってくる。

「ホームのゲームなのでとにかく強気で戦う姿勢、そしてゴールをと、選手を送り出しました。ホーム等々力は自分にとっても強い想いがありますし、シンプルな話ですがホームで勝てることで勢いに乗っていける。応援し続けてくれるサポーターにも感謝していまし、選手も非常にそういう想いが強いです。期待に応えたいという。ただ、それが少しプレッシャーとは言いませんが、判断のところで迷いが少し生じていたのかもしてません。もっとシュートでも思いっ切りやっても良かったのかなと。勝てる時もそうではない時もありますが、ホームへの想いは持ち続けたいです」

 そしてさらなる改善へ「ゴール前の質にこだわり続けないといけない。ワンタッチなのかツータッチなのか、打つべきなのか動かすべきなのかなど、そういう一瞬のジャッジを思いっ切りできればもっと得点の匂いが高まったかもしれません」と話す。
 
 選手たちの反応も、指揮官同様に決してネガティブなものではなかった。

「チャンスは作ったし、勝たないといけないゲームだった」と語った司令塔の脇坂泰斗は、それでも「(ペナルティエリアの脇を)取るシーンはここ最近で一番多かった」と振り返り、そこからのクロスを含めた得点へのルートに関しては、こう考えを話す。

「(CFで先発した)ダミアンはファーで待ちたいタイプだと思うのでそれを越してニアに入って来られる選手がいなかったというのはありますし、クロスをそのファーに届ける質も必要でした。もっと深いところまで切り込んでいく形があっても良かった。でも、あとは仕留めるだけだった。必要なのは繊細さと大胆さのバランス。練習での成功体験も大事なので、一歩踏み込んだトレーニングをしていきたいです」

 一方で、「チームとしてはポジティブな内容も、個人としては残念だった」と反省を口にするのは右SBの山根視来だ。

「久しぶりにあれだけペナの中に入って、ボールをもらえるシーンが多かったなかで、点につながらなかったのは(個人的に)単純な技術ミスもありましたし、今日はチームとは別の感情で悔しいです。

 誰が出ているというのは関係ないとは思いますが、なかなかスタートから出られなかった選手や、若い選手がスタートから出たなかで、彼らがチームに勢いをもたらすプレーをしてくれた。その分、普段、試合に出させてもらっている僕が点につなげなくてはいけなかった」

 主力の海外挑戦が続くなか、今季は開幕から怪我人が後をたたず苦しい戦いを強いられている。もっとも一歩ずつではあるが、攻撃面で歯車が噛み始めているとの手応えもあるのだろう。

 勝利、そしてゴールが生まれれば、より勢いを持った崩しを見せられるのかもしれない。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【厳選ショット】ルヴァンGS第3節 川崎0-0浦和
 
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