【セルジオ越後】選手やシステム変更など“いじり過ぎた”コロンビア戦。新生日本がどんなチームなのか、分からなくなってしまったよ

2023年03月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

“誰が何をしたのか”が不明瞭だった

前半だけで代えられた町野。プレー自体は悪くなかったが…。写真:サッカーダイジェスト/JMPA代表撮影

 日本代表はキリンチャレンジカップでコロンビアと対戦して、1-2で敗れた。

 序盤を見れば、良い試合になると思った。3分に町野がポイントになり、三笘がヘディングで決めた。ホームらしく"イケイケ"の状態になるかと思われた。24日にウルグアイと1-1だった日本と、韓国と2-2だったコロンビアは、今回の代表ウィークで2試合目ということもあってか、ともにコンディションが良いとも感じられた。

 ただ、時間が経つにつれて、日本のプレスがかかりにくくなってきてしまった。コロンビアは、南米特有の球際の強さや狭い局面でボールを取られない技術を発揮して、ペースを握り始めてきた。

 そして、日本は徐々に攻撃が今ひとつとなって、33分と61分の失点で逆転されてしまった。

 厳しい言い方になるけど、3月シリーズで何が残ったのか、疑問となる一戦だった。森保監督の采配は、勝利にとらわれて慌ててしまったか、選手の責任があいまいになってしまうように見えたからだ。特に攻撃陣の選手は、反省するのが難しいのではないか。

 カタール・ワールドカップで出番がなかった町野、そして西村はいずれも先発して、悪くない動きに見えた。それなのに、町野はハーフタイム、西村は59分と、ともに早い時間に下げられた。代わりに入った上田や久保は結果を残せなかった。
 
 当初から決められた交代策だったのかもしれない。それは分からないけど、ともすれば代えられた選手は、「俺のプレーは悪かったのか?」と不安になる一方で、「でも、交代した選手も良くなかったのでは?」となってしまい、何を反省すればいいのか分からなくなる懸念もある。

 先制点を決めた三笘も、54分に交代させられた。代わりに、左サイドハーフには、伊東がポジション変更で入った。三笘はエースではないというのだろうか? しかも、伊東も決定的な仕事はできなかった。

 また、78分に浅野が途中出場した際に、メモを遠藤に渡して選手同士が確認していた。サッカーで、試合中に選手がメモを持ってプレーするなんて、初めて見たよ。その後、板倉や伊藤が森保監督に口頭で確認に行っていたから、事前に周知していないシステムだったのかもしれない。僕には混乱しているように見えた。

 結局、前半は耐えて、後半に出てきた"誰か"に何とかしてもらう、という戦い方なのかな。そして、選手やシステム変更など、"いじり過ぎた"感じもした。

"誰が何をしたのか"が不明瞭だった。新生日本がどんなチームなのか、分からなくなってしまったよ。3日前のウルグアイ戦も含め、ディフェンダーは、ある程度"新しい形"が見えてきたと思う。今後は、攻撃的な選手の布陣をどうするのかが気になるね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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