【広島】劇的決勝弾でヒーローの柏好文が待ち望んでいた優勝争い「俺はこういう想いをするために広島に来た」

2015年12月03日 小田智史(サッカーダイジェスト)

9月末に4週間の戦線離脱。大事な時期に戦いに加われない寂しさを感じる。

69分から出場した柏は、「全部、俺につけてくれ」とチームメイトに要求し、次々と突破を仕掛けた。その積極性が、スタジアムを熱狂させる劇的なゴールを生むことに。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 まるでジェットコースターに乗っているような、スリリングなゲームを締め括ったのは、故障明けわずか3試合目、途中出場の柏好文だった。

【JリーグCS決勝 第1戦 PHOTOハイライト】G大阪 2-3 広島

 9月末の練習で左膝内側側副靭帯を損傷し、約4週間の離脱を余儀なくされた。優勝争いを繰り広げるチームメイトを横目に、自分は装具を付けてリハビリに励む日々。決して下を向かず、笑顔もまじえながら汗を流していたが、その姿はどこか戦いに加われない寂しさを感じさせるものだった。悔しい想いが体中を駆け巡るなか、自分を信じることで必死に己を奮い立たせた。
 
「良い状態でシーズンを迎えて自分自身ずっと調子が良かっただけに、怪我で悔しい想いをしました。でも、自分自身を信じて、『自分の実力なら、試合に出たら必ず結果を残せる』と思って練習していたし、試合に出られなくても、優勝争いをしている一員という気持ちは忘れませんでした」
 
 そういった強い想いが、「全部(自分に)つけてくれ」というチームメイトへの要求に表われたのだろう。リクエスト通り、青山や塩谷から縦パスを受けた柏は、迷わず突破を仕掛けていく。出場から5分後の74分、右サイドを崩してゴール前にクロスを供給。チームも一気に攻撃の圧力を強めていく。
 
 迎えた80分、ひとりでカウンターを仕掛けた浅野のポスト直撃のこぼれ球に素早く反応して右足を振り抜くと、ドウグラスが頭で軌道を変えてG大阪のゴールネットを揺らした。「アウトにかけて思い切りシュートを打ったら、ドグ(ドウグラス)がとんでもない身体能力でコースを変えてくれた(笑)」と柏は得点シーンの舞台裏を明かすが、一度乗った彼の勢いは止まらない。
 
 再逆転を許して迎えた90+1分、佐々木の同点ゴールが生まれるが、その起点となったFKも、柏が突破を仕掛けて相手のファウルを誘って獲得したものだ。そして、90+6分にドラマが生まれるのだ。
 

次ページ「こういう結果を出すため怪我からリハビリを頑張ってきた」(柏)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事