【浦和】衝撃の敗戦を振り返る那須。「這いつくばってでも前に進む」と天皇杯獲得へ熱い想い!

2015年12月01日 轡田哲朗

一夜明けた29日のトレーニング後に那須は思いを吐露した。

試合直後は報道陣の取材に答えられなかった那須。しかし、翌日の練習後には胸中を激白した。(C) SOCCER DIGEST

 試合後のミックスゾーンに姿を現わした那須は「今日は……」と短く言葉を発し、スタジアムを後にしていた。悔しい敗戦の後でも毅然とした態度で取材対応をする那須には、異例のことだった。
 
 28日のJリーグチャンピオンシップ(CS)準決勝で、浦和はG大阪に延長戦の末1-3で敗戦。那須はスタメン出場し、0-1でビハインドの63分でベンチに退いていた。その47分の失点は、那須から森脇へのパスを奪われたことが起点になったものだった。
 
「自分がチームを助けられず、いい形で最後までピッチに立って導けなかった悔しさがあった。最後の最後までウチに転がってもおかしくない試合だった。チームの一員として悔しかったし、みんなで決勝に行きたかった。本当にいろいろな思いが交錯していた。昨日は立っているのもつらかったし、語れることもなかった」
 
 一夜明け、29日のトレーニング後に那須はその思いを吐露した。
 
 大一番までの過程は、順調とは言い難かった。7日の第2ステージ16節・川崎戦の試合終了間際に右足ハムストリングを痛めた。その後は別メニュー調整が続き、このCS準決勝の週になって全体トレーニングに合流した。「僕は練習量を自信にしていくタイプ」と語る那須は「怪我と折り合いをつけながらで仕方ない部分はあるにしても、もう少し動けた、もう少しやれたという悔しさがある」と、ぶっつけ本番になってしまったことを悔やんだ。
 
 浦和が眼前でタイトルを逃すのは、奇しくも那須が加入した13年から3年連続のことになる。1年目はナビスコカップの決勝で柏に敗れた。14年は、勝てばリーグ優勝というG大阪との決戦に敗れ、最終的に逆転された。そして今季は、このCS準決勝での敗退となった。
 
 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の指揮下にある浦和が、魅力的なサッカーを展開しているのは間違いない。タイトルを取っておかしくないだけのチーム力があることにも、疑いの余地はない。仮に浦和が3シーズン連続でタイトルを獲得していたとしても、驚きではなかっただろう。
 
 数字を見ても、リーグ戦での年間勝点は12年にペトロヴィッチ監督が就任して以来、55、58、62と増加し、今季は05年にJ1が18チームになって以来、昨季までの歴代最多タイの72まで伸ばした。第1ステージを無敗で制した上に、リーグ年間4敗は歴代最少タイだ。
 
 だが、それでも一歩届かない。このチームにはなにが足りないのか――。
 

次ページ15分以上に渡って熱く語った男は、最後まで「運」という言葉を一度も使わなかった。

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