「ナカイのトップ昇格は難しい」今季2試合で5分…中井卓大の“リアルな評価”をマドリー番記者に訊いた「有力なのは日本帰還だ」【現地発】

2023年03月22日 セルヒオ・サントス

ラウール監督の戦力構想に入ることができていない

マドリーBで出場機会を得られていない中井。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 タクヒロ・ナカイ(中井卓大)は、2014年にレアル・マドリーのカンテラ(下部組織)に加入して以来、最悪の時期を過ごしているのではないだろうか。

 昨夏にフベニールAを卒業した彼は、重要な岐路に立たされていた。マドリーでは年齢別カテゴリー最上位のフベニールAからカスティージャ(レアル・マドリーB)への昇格時に、多くの選手がふるいにかけられる。

 昨年2月に2025年まで契約を延長していたナカイには2つの選択肢があった。カスティージャに昇格するか、来シーズンからレアル・マドリーのサードチーム、マドリーCとして生まれ変わるRSCインテルナシオナルでプレーするかのどちらかだ。

 カスティージャは、スペイン3部にあたるプリメーラRFEF、RSCは同5部にあたるテルセーラRFEFに所属する。レベルの差は小さくはなく、ナカイはカンテラの責任者から現役時代にマジョルカやエスパニョールなどで活躍したルイス・ガルシアが率いる後者のほうが実力的にマッチすると助言を受けていた。
 
 しかし、ナカイはあえて大海に飛び込むことを選んだ。同じ攻撃的なポジションには、自分よりレベルの高い選手がひしめき合い、チャンスが限られることを分かっていながら、カスティージャに昇格することを決断した。開幕以来、チーム内のヒエラルキーではナカイよりも上位に立っていたブルーノ・イグレシアスが、1月に出場機会を求めてRSCに移籍(今シーズンはマドリーとは別のチーム扱い。所属選手の大半がマドリーからのレンタル組)したことを見ても、その競争の激しさは明らかだ。

 今シーズンここまでのナカイのプレータイムは、2試合で5分にとどまる。ラウール・ゴンサレス監督の戦力構想に入ることができていないのは否定のしようがない数字だ。カスティージャは2部昇格を目ざして戦っている。球際やフィジカルの強さを備えていないと通用しないステージであり、その点においてまだまだ対応できていないナカイは居場所を失う結果となっている。
 

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