【G大阪】依然不発の宇佐美は取材エリアでひとり悄然…。72分の交代は「監督が決めることなので…」

2015年11月28日

宇佐美のプレーは、最後まで“それなりに”の程度を脱しなかった。

久々のトップ下での起用となった宇佐美だが、試合を決める仕事はできず。エースの復活弾が万博で飛び出すか? (C) SOCCER DIGEST

 浦和とのチャンピオンシップ準決勝を終えて、G大阪の選手たちは晴れやかな表情でミックスゾーン(取材エリア)に姿を現わした。記者陣に囲まれて一人ひとりが応対するなか、浮かない顔をしていた男がひとりいる。トップ下で先発した宇佐美だ。

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 リーグ最終節の山形戦では、出場停止のパトリックに代わって1トップで出場するもパッとせず、試合途中に腰を打撲した倉田に代わってトップ下にシフト。するとようやく攻撃の歯車が噛み合い、宇佐美も2アシストと活躍した。倉田のコンディションが万全ではなく、宇佐美が山形戦で結果を残した点も考慮し、長谷川監督は浦和との大一番で「宇佐美のトップ下」を選択したのだ。
 
 前半は浦和の2ボランチに素早く寄せてプレッシャーをかけながら、ボールを持てばドリブルで仕掛けて脅威を与えたが、終わってみればシュートは前半の1本のみ。後半はピッチをふらふらする時間が長くなり、存在感が薄れ始めた72分に交代を命じられた。
 
 宇佐美は静かにピッチを去ったが、この交代について「監督が決めることなので……」と言葉少なに振り返っている。結果的に、交代直後のCKから失点。その後、G大阪はエース不在で厳しい戦いを強いられた。
 
 宇佐美がトップ下で輝けなかった原因はなにか。本人は「もう少し自分たちでボールを保持できれば良かったけど、なかなかボールを持てなかった」と語っている。序盤から浦和に押し込まれる場面も多く、後半途中までG大阪の攻撃はカウンターがメインとなり、宇佐美がボールを持ってもプレーの選択肢は限られていた。
 
 見せ場がなかったわけではない。センターサークル付近からドリブルでボールを運び、相手2、3人に囲まれながらも中央を突破し、強引にシュートまで持ち込んだ。また別の局面では、カウンターから藤春にピンポイントパスを供給。藤春のトラップミスでシュートまで至らなかったが、上手くボールを収めていればビッグチャンスになっていただろう。
 
 時にパトリックや2列目を活用しながら攻撃を構築し、機を見てドリブルで仕掛ける宇佐美のプレーは確かに怖さがあったが、その程度は"それなりに"の域を脱しない。本人も自覚しているからこそ、試合後の表情も冴えなかったのだろう。
 
 チャンピオンシップ決勝の相手は広島(12月2日・5日)。第1戦はホームで迎えるだけに、サポーターの声援を力に変えて鬱憤を晴らすか。
 
 エースの復活弾――。その場所は、やはり万博がお似合いだ。
 
取材・文:大木 勇(サッカーダイジェスト編集部)
 
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