【2015総括】湘南編|スタイルを貫徹しクラブ初の残留を果たす。指揮官の去就は不透明も歩むべき道筋に揺るぎなし

2015年11月27日 隈元大吾

右肩上がりの成長。最終節・広島戦の大敗は来季への布石。

豊富な運動量で攻守に渡って貢献度の高い働きを見せた永木。キャプテンとしてもチームを牽引した。写真:徳原隆元

 J1第2ステージは広島が優勝。年間勝点でも広島が浦和を抑えて頂点に立ちレギュラーシーズンは幕を閉じた。今季の34試合をJ1全18チームはいかに戦ったのか? 各クラブの担当記者が、11月22日で今季最終戦を迎えた2015シーズンを振り返り総括する。
 
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湘南ベルマーレ
年間成績:8位 勝点:48 13勝9分12敗 40得点・44失点
第1ステージ成績:10位 勝点:22 6勝4分7敗 20点・24失点
第2ステージ成績:9位 勝点:26 7勝5分5敗 20得点・20失点
 
【2015シーズンの出来を点数で表わすと?】
80
 
 攻守の切り替え素早く自分たちから積極的にアクションを起こしていく。スタイルの証明を誓って臨んだ今季、湘南は年間総合8位でフィニッシュし、クラブとして初のJ1残留を果たした。
 
 縦に速いノンストップフットボールはしかし、すべてが勝利に値する内容だったわけではない。とりわけ第1ステージは上位陣になかなか勝てず、複数失点も少なくなかった。
 
 だが特長を発揮しながら耐えるべき時間帯を耐えるなどゲームの流れをピッチの上で共有し、失点しても落ちないメンタリティを培うなど敗戦も糧とした。
 
「シーズンを通して選手たちがトライとエラーを繰り返しながら練習からアグレッシブに取り組んでくれた」
 曺貴裁監督がそう語り、チームの成長に目を細めたように、勝敗に左右されずに足もとを見つめ、次につなげる姿勢もまた湘南スタイルの芯と言える。
 
 第1ステージ最終節の松本戦と第2ステージ初戦の名古屋戦に勝利し、今季初めてリーグ戦で白星を並べると、先制されても最少失点に抑え、追いついて勝点に結ぶ粘り強さも身に付けた。
 
 シーズン終盤にはチャンピオンシップ進出を期するFC東京や鹿島、残留を目指す新潟を相手に3連勝し、第2ステージに挙げた勝点は第1ステージのそれを超え、右肩上がりの成長をしっかり結果に映してみせた。
 
 80点という数字には、過去を含めた湘南の歩みも込められている。1年で降格した2010年と2013年を経て今季の躍進があるように、最終節、年間勝点1位の広島に喫した0-5の大敗もまた、来季への布石と捉えうる。一部報道で指揮官らの去就が取り沙汰されているが、湘南が見据えるべき道筋が揺らぐべくもないことは、これまでの歩みが証明している。
 
【今季のチームMVPは?】
永木亮太(MF
 
 攻守に圧倒的な存在感を発揮。「今年に関してはひとケタ順位を目標にやっていたし、自分のなかでの目標や手応えも、少しずつですけど年々右肩上がりになってきている」そう語るキャプテンの成長の道のりが、チームのそれに重なる。
 
文:隈元大吾(フリーライター)
 
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