ロシア政府が殺人未遂容疑の元オランダ代表FWにも“国籍”を付与か。「実現すれば身柄引き渡しを回避できる」と現地報道

2023年02月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

大量のコカイン売買に関わった疑惑も浮上

ロシア国籍の取得を希望しているとされるプロメス。母国オランダでは殺人未遂の容疑で起訴されている。(C)Getty Images

 殺人未遂容疑がかかる元オランダ代表ストライカーも"ロシア国籍"を望んでいるようだ。

 現地2月24日、ロシア政府は国内在住の外国籍38名に対し、ウラジーミル・プーチン大統領が特例措置としてロシア国籍を付与したと発表。ウクライナ侵攻作戦が始まってからちょうど1年を迎え、プロパガンダ的な意味合いが強いと見られている。

 ロシア・プレミアリーグで活躍するふたりのプロサッカー選手の国籍も認可された。強豪ゼニトに所属するFWマルコム(25歳)と、MFクラウジーニョ(26歳)のコンビだ。どちらもブラジルU-23の代表歴がある実力者で、クラブはさっそく公式ツイッターで「ゼニトに関わるあらゆる人びとがマルコムとクラウジーニョのロシア国籍取得を喜んでいる」とのメッセージを寄せた。

 ゼニトはほかにも5人のブラジル人選手を抱えており、彼らの国籍取得も求めているという。英紙『The Sun』は「ロシア国籍を取得すれば、ブラジル人選手たちは現在より15%も所得税が免除される。税金対策のために(国籍認可を)希望していたに過ぎない」と伝えている。

 そんななか、帰化申請の結果を待っている重要人物がいる。名門スパルタク・モスクワでエースとして君臨するオランダ人FW、クインシー・プロメス(31歳)だ。
 
 セビージャやアヤックスにも籍を置いたプロメスは、オランダ代表として50試合(7得点)に出場した歴戦のストライカー。しかし彼には現在、2020年7月に家族パーティーで親戚の男性の膝をナイフで刺した殺人未遂の容疑がかけられている。

 逮捕→釈放ののち、21年2月にアヤックスからスパルタクに完全移籍。同年10月に訴追され、今年3月3日には初公判が行なわれる予定だ。オランダの検察はロシア側に身柄の引き渡しを要求し続けているが、当局がまったく取り合わない状況だという。

 スペイン紙『El Mundo』は「プロメスは告訴から免れるためにロシア国籍の取得を望んでいる。なぜなら実現すれば、彼はロシアの憲法に守られるからだ。ロシア国籍を有する者に対して、ロシア政府は外国からの身柄の引き渡し要求にはいっさい応じない」と説明。なおプロメスには大量のコカイン売買に関与した容疑もあり、こちらはベルギー当局が本格的な捜査に乗り出している。

 ロシア・プレミアリーグのクラブはUEFA(欧州サッカー連盟)から国際大会への出場を禁じられており、外国籍選手の国外退避が相次ぐなど競争力が急速に低下。スポンサー離れも進んでいる。人材の流出を防ぐためにも、今後も政府主導の下で外国籍選手へのロシア国籍付与が増えると現地メディアは見ており、ひょっとしたら次はプロメスが対象となるかもしれない。

 今シーズンのリーグ戦でプロメスは16試合で14得点と絶好調。得点ランキングのトップタイに付けている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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