【広島】佐藤寿人が森保監督に語ったひと言。「ストライカーは“教えて”作れるもの」

2015年11月23日 小田智史(サッカーダイジェスト)

森保監督が語る佐藤の凄さ「感覚的にゴールが頭の中に入っている」

最終節の湘南戦でJ1通算最多得点記録の157ゴールに並んだ佐藤。その凄みを間近で感じ取っているのが森保監督だ。(C) SOCCER DIGEST

 寿人の記録は、誰もが達成させてあげたいと思っていました。ひとりのために、みんなが協力すること。それが記録につながったのかな、と。今までのJの歴史の中でトップなわけですから、本当に偉大ですよね。
 
 1点でも多く取るために努力を続ける姿は、(2003年に)仙台で一緒にプレーしていた時の寿人と、今の寿人、まったく変わりません。まさにストライカーと呼ぶにふさわしいと思います。
 
 プレーに目を向ければ、とにかく相手との駆け引きに長けている。ペナルティエリアの中で勝負する感覚は天性のものだし、ワンタッチの技術は間違いなく日本一でしょう。ボックス付近までボールを運んで、寿人に最後つなげれば、『必ず点は取ってくれる』と感じさせてくれるし、実際そういうゴールが多い。
 
 いくつかの試合では、ペナルティエリア外からもスーパーなゴールを決めていますけど、基本的にはどの位置からでも、まずはゴールを狙っている。今年で言えば、第2ステージの仙台戦の2ゴールですかね。ミカ(ミキッチ)からのクロスに合わせた1点目、アオ(青山)がインターセプトしてボールを振り向きざまに決めた2点目。ああいった場面でも、感覚的にゴールが頭のなかに入っているんだな、と。
 
 昨年、プスカシュ賞(FIFAが選ぶ年間ベストゴール)にノミネートされた2節・川崎戦のゴール(注/青山の縦パスをトラップで浮かし、そのまま左足でダイレクトボレー。ドライブ回転のかかったシュートは、急激に落ちてネットを揺らした)も、端から見たら上手くいかないように映るかもしれないけど、ボールを受けた時に次はこうやろうとイメージしながらプレーしていた。
 
 寿人は普段からああいった練習はしています。結局、練習でやっているから、試合に活かせるんだな、と。自分がシュートを打てる局面を作る、あるいはスペースを確保する――そのポジショニングの妙は素晴らしいなと思います。
 
 それは、ボールを置く位置が絶妙なことも関係しています。シュート練習ひとつ取っても、ボールの位置が良いから、高確率で決められる。第1ステージの山形戦、アオからのパスをトラップして、(倒れ込みながら)左足でフィニッシュした1点目は、普通だったら右足に置いてシュートするかもしれない。
 
 寿人の場合、仮にGKに読まれていても、優位に立てますよね。また、シュートも球種が多彩です。ストレート、ブレ球、インスイング……。振りもコンパクトで、難しいシュートも自分のタイミングで打ててしまうんです。
 

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