「僕の1点と彼らの活躍は天と地の差」鄭大世が初の海外挑戦、ドイツで10ゴールを決めても劣等感に苛まれたワケ

2023年01月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ブンデスは戦い。Jリーグはスポーツ」

鄭大世氏がドイツでプレーした頃について語った。(C)Getty Images

 昨季限りで現役を引退した元北朝鮮代表FWの鄭大世氏が、元日本代表MFの鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルにゲスト出演。ドイツでの苦闘を振り返った。

 初の海外挑戦となった2010年のドイツ2部ボーフムへの移籍。鈴木氏にそのきっかけを問われた鄭氏は、"マンネリ"を挙げた。川崎フロンターレで09年まで3年連続で二桁得点をマークすると、「このチームで活躍するのは当たり前」な状態になったという。

「自分の実力が世界でどれくらい通じるのか、知りたい。なおさら、そういう性格だったから。向上心にあふれていたから、その時は。年齢も26歳だった。もう若くない。だから、早く海外に行きたくてボーフムを選んだ。オファーが来たので」

 その状況で挑んだドイツのブンデスリーガについて、鈴木氏からJリーグとの違いを問われると、鄭氏は練習と実戦の"差"に言及する。

「最初にボーフムの練習試合を見た時は、『まじで下手だな』『川崎のほうが余裕で強いじゃん』と思った。でも、公式戦になったら全く違うチームになる。めっちゃファウルが多い。球際に激しくいくから。(相手を)見てディレイじゃない。相手に前を向かせないで潰しちゃう」
 
 ボールを受けても前を向く余裕がないため、ドリブルがサイドでしかできなかったという。「ブンデスは戦い。Jリーグはスポーツ」と、その違いをまとめた。

 環境が大きく変わるなかでも、「自信にあふれていた」という鄭氏は、ドイツ1シーズン目にして10得点をマークする。特に、シーズン前半だけで8点を挙げた。ただ、同時期にJリーグから海外移籍した長友佑都や内田篤人氏、香川真司が、イタリアやドイツの1部で活躍していた。

「劣等感に苛まれる。僕の1点と彼らの活躍は、天と地の差。それは考える必要がない、自分は自分だから。でも、僕は考えちゃう性格だから、焦りのほうが。早くブンデス1部へと。今考えたら、2部でやっているのも凄いこと。でも、その時は横が凄すぎて自分が凄いと思えなかった」

 そんな精神状態のなかで「サッカーを裏切ったら、サッカーに裏切られる」経験もした。クリスマス休暇で帰国すると、ホームシックになっていたため故障を口実にしてクラブの年始の集合をサボってしまう。そこから「身体が全く動かない。キレも無ければ走れない」状態になり、フォームが崩れてしまった。

「それを取り戻すまでに、かなり時間がかかった」という鄭氏だが、2011-12シーズン途中にケルンに移籍。ただ、ドイツ1部リーグにステップアップできたことで、満足した部分があった。なおかつ「フォームが崩れているのが分かっている」という状態で思うような成績を残せず。チームも2部に降格した翌12-13シーズンを持って、ヨーロッパでの挑戦を終えることになった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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