【セルジオ越後】今大会は“守りのワールドカップ”。日本は組織的には守れると分かったけど、個の強化が必要。近い未来の議論も徹底してほしい

2022年12月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

日本は分析ができない国

アルゼンチンやフランスは錚々たるクラブでプレーしている選手たちばかりだよ。(C)Getty Images

 アルゼンチンがフランスに競り勝ったカタール・ワールドカップの決勝戦は、スリルがあって見応えのある試合だったね。メッシがついにトロフィーを掲げる劇的なシナリオだった。

 でも総合的に見たら、新たな若いスターが誕生しなかった大会でもあった。期待に応えてくれたのがエムバペだけで、衝撃的なインパクトを残した選手がいなかった。メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、モドリッチら最後のワールドカップになるであろうレジェンドたちに注目が集まり、主役となった。

 そして今大会は日本に限らず、守備のブロックを作って、少ないチャンスをモノにし、何とか勝ち抜いていく国が多かった。今までとは違う"守りのワールドカップ"になったね。

 日本も組織的には守れると分かった。でもドイツやスペインとまた戦ったら勝てる保証はないし、逆にコスタリカのように引いてきた相手は崩せなかったよね。
 
 ずっと言われているけど、個の力が上がればチームは強くなる。日本は海外でプレーする選手が増えているけど、各国リーグで"顔"になるような選手はいない。

 アルゼンチンやフランスの選手を見ると、錚々たるクラブでプレーしている選手たちばかりだよ。日本もそういった選手が増えてこないと。ビッグクラブの中心選手は一人もいないよね。

 取り巻く環境が変われば選手たちのレベルアップにも繋がる。目標はベスト8ではなく、強豪に勝つことだったのかな。みんなグループステージ突破でお腹一杯になっていたよね。

 メディアもサッカー番組はなくなってきているのに、ワールドカップの時期だけは盛り上がる。日本は分析ができない国だから、どこが良くて、どこが悪かったかという深い議論はあまりされていない印象だ。メディアも含めてきちんとした議論ができるか。強豪で負けた国はほとんど監督が代わっているよ。

 日本は文化的にも、まだまだ世界に遅れている。文化はそう簡単には変わらないと思うけど、「2050年に優勝を目ざす」や「100年構想」など遠い未来ではなく、目の前のベスト8の壁を突破するために必要な議論を徹底してほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

【W杯PHOTO】まさにスタジアムの華! 現地入りしたワールドクラスたちの妻、恋人、パートナーら"WAGs"を一挙紹介!

【W杯PHOTO】ワールドクラスの美女サポーターずらり! スタジアムを華やかに彩る麗しきファン厳選ショット!

【W杯PHOTO】ベッカム、ロナウド、スナイデル…豪華な面々が勢揃い!カタールを訪れた各国の歴代レジェンドを一挙紹介
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事