【U-22日本代表】躍動した“広島コンビ”。浅野が一発回答の2得点を挙げれば、野津田もスーパーゴールを叩き込む!

2015年10月30日 小田智史(サッカーダイジェスト)

エースの座奪取に向けて、持ち味を存分に見せつけた浅野。

張りのあった左足の不安を感じさせず、自慢のスピードで颯爽とピッチを駆け抜けた浅野。45+1分、85分と相手からボールを奪って冷静にシュートを決め、2ゴールと結果を残した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「点を取らないと話にならないぞ!」。
 
 手倉森監督は直近の実戦3試合でわずか1得点のチームにそう発破をかけて、鳥栖戦のピッチに送り出したという。「結果を残せ」という意味に等しい指揮官からのメッセージに対し、強烈なインパクトで応えたのが浅野と野津田の"広島コンビ"だった。

【写真】U-22日本代表 7-0 鳥栖
 
 浅野は34分から2トップの一角として交代出場。左足の張りで欠場した福岡大戦を外から見て「裏への怖さをもっと出さないといけない」と感じ、抜け出すタイミングにこだわってプレーした。それは41分、42分と立て続けに最終ライン裏へのスルーパスに反応し相手ゴールを脅かしたシーンからも読み取れた。
 
 そして迎えた45+1分、荒野との連動した守備でボールを奪うと、飛び出してくるGKを鮮やかにかわすチップキックでネットを揺らし、チーム4点目をゲット。終盤の85分にも相手のバックパスをかっさらい、冷静にこの日2点目を流し込んだ。
 
 代表での得点は、実に今年2月のシンガポール遠征以来。日頃からゴールに強いこだわりを見せるだけに、少なからず焦りはあったと浅野は話す。
 
「チーム全体の守備から奪えたゴールだった。今までは(個人としては)ゴールにあまり恵まれていなくて、焦りは感じていたし、結果を残さないとこのチームでは生き残れないと思っていた。FWとして結果を残せたことはまずは良かった」
 
 ハリルホジッチ監督が視察するとあって、鳥栖戦を「アピールの場」と位置付けていたが、浅野のプレーはA代表の指揮官の脳裏にも焼き付いたに違いない。それでも、本人は2点を取った喜びよりも、3点目を逃した悔しさのほうが大きかったようだ。
 
「もっと点を取れるチャンスはあった。フィニッシュの精度を上げたいし、裏への抜け出しに関してもオフサイドになったシーンもあって、(今日の出来には)満足はできていない。オリンピックに行くことを常に意識しながらも、目指すところはやっぱりA代表なので、毎日がA代表に入るための"試験"だと思ってやっていければなと」
 
 鳥栖戦では金森と荒野が果敢なチェイシングで手倉森監督から好評価を受けたものの、FWというポジションの観点から言えば、ゴールを挙げた浅野のほうがアピール度では上だ。今回は故障のため未招集の鈴木や、欧州組の久保とライバルは多いが、エースの座奪取に一歩近づく、実りあるキャンプだったと言えるだろう。

次ページスーパーミドルで“レフティ・モンスター”の本領を発揮した野津田。

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