【U-22日本代表】“ホーム”で意地の1ゴールを挙げた鎌田大地。「五輪に出たい気持ちは強くなった」

2015年10月29日 小田智史(サッカーダイジェスト)

試合への入りは良くなかったが、徐々にアジャストしてゴールをねじ込む。

試合への入りは良くなかったが、最後にきっちりゴールを決めるあたりはさすが。鎌田自身も今回の代表活動を経て、五輪出場への想いは強くなったという。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 今回の佐賀キャンプを締め括る鳥栖との練習試合(45分×2本)で、鎌田は56分からピッチに立った。先発した荒野に代わって2トップの一角に入ると、3分後に訪れたファーストプレーでは、ペナルティエリア内でDFの間を縫うスルーパスを通して決定機を演出した。

【写真】U-22日本代表 7-0 鳥栖
 
 しかし、その後チームは連動した攻撃が続かず、逆に相手に押し込まれる時間が多くなった。鎌田自身「自分的には(試合に)上手く入れなくて、ミスが増えてしまった」と反省するが、メンバーが3回入れ替わるなかで徐々に"軌道修正"するあたりは、やはり只者ではない。
 
 81分には左サイドでボールを受け、そのままカットインしてシュートを放つと、終了間際の90分、自らのスルーパスのこぼれ球にいち早く反応し、DFをかわして右足を振り抜き、ゴールラッシュを締め括る7点目を挙げてみせた。
 
「かわした瞬間、思い切り逆サイドに蹴り込もうと思った」という待望の"代表初ゴール"には、地元・鳥栖のサポーターからも大きな拍手が送られた。しかし、ストイックな本人の自己評価はやはり厳しい。
 
「ゴールは嬉しかったけど、試合への入りが良ければもっと得点に絡めていたと思う。今日はピッチコンディションも良く、チームとしてボールが動いていた。今回で代表(活動)2回目だけど、僕がこれまで見たことがないようなくらい、スムーズにプレーできていたので、これがこのチームの"本当の実力"なんだなと。個々の技術の高さを改めて感じた」
 
 とはいえ、リオ五輪アジア最終予選のメンバー入りに向けて収穫があったのも事実だ。
 
 ひとつは、初招集となった8月の京都キャンプに比べて、ボールが回ってくる回数が増えたこと。鎌田からも要求していると言うが、出し手側も鎌田の特長を理解し始めている。そして鳥栖戦で言えば、本人曰く「プレー自体はあまり良くなかった」なか、素早く気持ちを切り替えて、ゴールという結果を残せたのは間違いなく「今後につながる」(鎌田)はずだ。鎌田自身、今キャンプでメンバーたちと生活をともにし、ミーティングを重ねることで、U-22日本代表への想いはより強くなったと話す。
 
「今回、代表活動に参加して、オリンピックに出たい気持ちは強くなりました。今日の結果だけではまだまだ足りないですけど、ゴールを入れたことで、自分の中では一歩"前進"できたかなと。(J1リーグの)シーズンはあと2試合残っているので、まずはクラブでスタメンを奪い返すこと。しっかり試合に出て、今までどおり得点に絡むことを忘れずにプレーして、またここ(代表)に戻って来たい」
 
 ゴール前のアイデア不足がチームの課題とされるだけに、寡黙な天才アタッカーが最終予選のメンバー入りを果たしたとしても、なんら不思議ではないだろう。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
PROFILE
かまだ・だいち/1996年8月5日生まれ、愛媛県出身。180センチ・72キロ。キッズFC―G大阪Jrユース―東山高―鳥栖。今季通算19試合・3得点、J1通算19試合・3得点(J1・第2ステージ15節終了時)。攻撃性能の高いスキルフルな新人MF。トップ下の他にも、FW、サイドハーフ、ボランチを起用にこなし、能力の高さは元日本代表で同僚の豊田陽平も認める。
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