驚きだった「町野修斗の追加招集」。守備陣の序列や状況に変化、「代役拒否説」に裏付けはない

2022年11月08日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

そもそもDFは9人を招集していた

中山に代わってW杯メンバーに招集された町野。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 意外な決断だった。日本サッカー協会は11月8日、カタール・ワールドカップに臨む日本代表メンバーの変更を発表。アキレス腱の手術を余儀なくされたDFの中山雄太(ハダースフィールド)に代わって、FWの町野修斗(湘南ベルマーレ)を招集したのだ。
 
 長友佑都と左SBのスタメンの座を争っていた中山の代役は、DFになるとの予測がもっぱらだった。そもそもDFは計9人を招集と森保一監督は固い選択をしていたし、中山の他にも冨安健洋、板倉滉、谷口彰悟などがそれぞれ怪我を抱えていたからだ。とくに膝を痛めた板倉は9月中旬からリハビリ中で、筋肉系を痛めた冨安とともに、W杯に間に合うのか懸念されていた。
 
 だから中山の代わりは佐々木翔、岩田智樹、中谷進之介、植田直通などのDFがベターに見えたし、とくに森保監督にとってはサンフレッチェ広島時代からの教え子である佐々木が最有力候補に見えた。
 
 しかし、森保監督が実際に指名したのは町野。7月のE-1選手権で得点王に輝き、J1リーグでは日本人最多の13ゴールを挙げた23歳が夢舞台への切符を掴み取った。これでCF陣は前田大然、上田綺世、浅野拓磨を含めた4枚体制になり、攻撃陣のバリエーションは広がった。
 
 一方でDF陣は8枚体制に。中山が抜けた左SBは長友に加え、9月シリーズはCBで起用されていた伊藤洋輝が回ることになるだろう。一方で冨安と板倉は、現時点でW杯に間に合う見込みということだろう。この2人のコンディションがまだ見えていないのであれば、このタイミングで佐々木なりのDFを代役招集していたはずだ。
 
 実際、冨安に関してアーセナルは11月7日に「チューリヒ戦で負傷した冨安はフィットネス面で評価中だが、W杯の出場は可能だろう」と発表。板倉もボルシアMGの全体練習でボールを使うところまで回復しているという。
 
 まさかの落選となった元エースの大迫勇也がバックアップメンバー入りを断ったと公表しているだけに、SNSなどでは同じく選外となった原口元気、古橋亨梧、旗手怜央なども同様で、だからこその町野だったのではないかという憶測も飛んでいる。
 
 ただ、今回の追加招集に関して森保監督をはじめとする関係者のコメントは出ていない。もちろん舞台裏では様々な駆け引きや思惑があるだろうが、この説に関しては現時点で裏付けがない。
 
 いずれにしても、日本代表にとってW杯初戦となるドイツ戦は11月23日と残された時間は決して多くない。これ以上の怪我人によるプラン変更は避けたいところだ。
 
文●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)
 
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