鄭大世が17年間の現役生活に幕。長文で自身のキャリアを振り返る「最高に痛快なサッカー人生」

2022年10月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

「悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます」

町田がFW鄭大世の今季限りでの現役引退を発表した。写真:田中研治

 J2のFC町田ゼルビアは10月28日、FW鄭大世の2022年シーズン限りでの現役引退を発表した。

 鄭大世は2006年、高校卒業後に川崎フロンターレへ加入し、プロキャリアをスタート。その後、ドイツのボーフムやケルンにも移籍し、海外でのプレーも経験した。韓国の水原三星ブルーウィングスを経て、2015年に清水エスパルスで日本へ復帰。そして、昨シーズンからは町田に在籍し、今季はリーグ戦34試合・6得点を記録していた。

 鄭大世は現役引退にあたり、以下のようにコメントを発表している。
 
「裏山の鶯の鳴き声で目を覚ます。そんな清々しい朝を迎えてた町田での2年間最後の最後まで。本当に最後の試合まで苦しかった。これを遅くに書き上げた後に夢で、外されてるのに怒鳴られる夢でうなされ、朝思わず筆した。現実もそんな日常だった。

 全て伏線だと言い聞かせ、この"痛みや苦しみ"は自分だけの花を咲かせるためだと愚痴りながらも、食らいついた自分と、周りが思う今の質の差にも薄々気がついてたが年甲斐もなく、まだできる! とギラついてたけど、変わることはなかった。

 苦しさは変わらずで、こんな歳でも、悔しくて何度も泣いた。でも喜びは、喉が裂けるほど咆哮したあの頃とは、もう違う。同世代に勇気づけられ、ひと回り下に慰められた。歳の半分以下の選手たちと鎬を削った幼き頃、買ってもらったユニの袖のJリーグのエンブレム太くなった腕の袖のそれを見るたびに、胸が熱くなった。

 何年も前から、今日が最後かもと毎試合トイレに篭り嗚咽を漏らして泣いてた。酸いも甘いも味わい、綺麗事だと思ってたあの言葉も、今なら素直な気持ちで言える。『みんなのおかげ』こんな性格じゃなかったらもっといい景色が見えたかも?こんなエゴイストだからここまでこれた?違う。みんなの支えで今がある。

 後悔や、人としての失敗は数え切れないけどはっきりと言える。これが『ベスト』。砂埃舞う大学都リーグ3部からのし上がった、最高に痛快なサッカー人生。多くをサッカーからもらい、今は心が満たされてる。あの頃想像もできなかった舞台で夢中で走った17年間に、終了の笛を吹き、終止符を打つ。

 悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます。エゴイストなくせに馬鹿みたいに繊細で感情的な、こんな僕に関心を持ってくれてありがとうございました」

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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